浅田次郎著『かわいい自分には旅をさせよ』に次のような一説がある。以下抜粋。
非日常の世界を訪れ、感動する。
本物に触れ、五感をふるわせる。
先人たちの不便で悠長な旅、あるいは知らぬことばかりの子供のころに体験した旅とは、そうしたものであった。
もし、今日の旅の便利さはそのままに、本来のそうした感動を得ることのできる旅があるとしたら、どんなにすばらしいだろう。
より深い日本を求めて旅に出たい。
いにしえの旅人と刻を同じうし、溜息を分かち合えるような、深く美しい日本にめぐりあいたい。
「より深い日本」を求めて日本中を旅することは容易でないけれど、まずは「より深い大和」を求めて奈良を探ってみようと思い立った。例えば、万葉人と共に、芭蕉と共に、刻を同じくしてみたい。
(『和州探訪』という表題で始めましたが、私の興味が県境を越え広がりつつあることをご容赦下さい。) |