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日本に自生するブナ科22種の見分け方

 ●自生地が高所であるもの
 ブナ    イヌブナ    ミズナラ    

 

     
 

〇高山に自生し、紀伊半島では標高1000m付近から見られる。
〇堅果は三角錐型で、棘で覆われた殻斗に包まれている。落下する際は4裂している。

 

〇ブナよりやや標高の低い地域に自生する。
〇ブナに比べてその堅果は明らかに小さく、殻斗の葉柄が細くとても長いので容易に識別できる。

 

〇ブナよりやや標高の低い地域に見られ、やがてブナとの混合林を形成する。
〇堅果は大きくこげ茶色をしていて、落下するとすぐに先端から根を下ろし冬を越す。

 

 

 
 ●自生地が地域限定的なもの     ●殻斗が堅果全体を包んでいるもの
 ハナガガシ    オキナワウラジロガシ    スダジイ    ツブラジイ
     
 

〇四国南西部(高知県、愛媛県)や九州中南部といった温暖な地域に分布が限られる希少種で、環境省レッドデータブック の絶滅危惧種に指定されている。

 

〇堅果本体のサイズは 日本最大級。
〇その名の通り、奄美大島以南の島々や沖縄本島に自生するが、その本島でもなかなかこの木に出会えない。

 

〇殻斗は堅果全体を包んでいるが、落下時期になると3裂する。堅果は三角錘型。
〇ツブラジイと共に、いわゆる「椎の実」で、こちらは海岸付近に多い。

 

〇その名の通り、堅果は小さくて丸く、「コジイ」という名もある。初夏の開花では、まるで紅葉したかのように、木全体がまっ黄色になる。
〇「椎の実」は生食できる。

 
 ●殻斗に棘やイガなどの特徴があるもの
 クリ    アベマキ    クヌギ    カシワ
     
 

〇自生種のものは実も小さく、「ヤマグリ」や「シバグリ」などとも呼ばれている。
〇縄文時代での栽培が確認されており、以降、甘くて大きい堅果が選別されてきた。

 

〇 堅果も殻斗もその形状だけではクヌギとの区別がつきにくい。
〇樹皮のコルク層がたいへんよく発達しており、葉の裏星状毛と共に同定材料となる。

 

〇コナラと共に里山の重要な構成樹で 、ダルマ型の大きなどんぐりを実らせる。
〇甲虫類が蜜を求めてよく集まる木なので、子どもたちも最初にこの木の名前を覚える。

 

〇芝生のような棘をもつ殻斗に特徴があり、花柱が画像のように長い。
〇元来、沿海地を好む植生なのか、奈良での自生地はあまり知られていない。

 
 ●殻斗に横縞があるもの
 アラカシ    シラカシ    ウラジロガシ    
       
 

〇西日本では、最もよく見かけるドングリの1つで、12月になってもどんぐりを落としている。
〇葉は照葉樹特有の濃い緑で厚みがあり、裏返すと葉脈がはっきりと現れている。

 

〇堅果は、アラカシやアカガシとよく似ているが、殻斗 の横縞がはっきりと目につき、堅果に深くかぶさっている。
〇アラカシに比べると葉が薄くて細く、涼しげな樹形。

 

〇葉の裏は名の通り白く、縁は周辺は波打っている 。堅果より葉の方が同定しやすい。
〇殻斗は円錐形で浅。紀伊半島では標高400〜700m付近に自生するやや高地型。

   
 
 ●(殻斗に横縞があり、)ビロード状の毛で覆われたもの
 イチイガシ    アカガシ    ツクバネガシ    
       
 

〇堅果には縦に縞模様が入り、 肩のあたりが白い毛で覆われる。殻斗はビロード状の毛で覆われる。
〇大木の樹皮は、鱗片状に剥がれ落ちる。

 

〇堅果はシラカシやツクバネガシに似ていて同定は難しいが、葉が全縁(ぎざぎざがない)で、葉柄が非常に長いところから判断できる。
〇自生地は標高が高い。 

 

〇アカガシとの違いは、堅果に縦縞模様が入 ることと、葉先に鋸歯があり、縁が反り返っていることである。
〇ウラジロガシと共に春日山に多い。

   
 
 ●殻斗がうろこ状のもの
 コナラ    ナラガシワ    ウバメガシ    
       
 

〇アラカシと共にポピュラーなドングリの1つで、鱗状の浅い殻斗 にスマートな堅果がつく。
〇クヌギと共に里山の代表的な構成樹で、樹皮には縦に亀裂が走っている。

 

〇堅果は大きな太鼓型をしていて、肩は白い 毛で覆われている。
〇葉は波状でカシワによく似ていて、吉野川流域ではこの木の葉を用いて柏餅を包んだ。

 

〇堅果のへその部分が小さく、殻斗もすぐ脱げ落ちる。葉は小さく、縁は反り返っている。
〇元来、沿海地に自生する常緑樹で、紀伊半島に多く備長炭の材となっている。

   
 
 ●(殻斗がうろこ状で、)堅果の表面が白いろう状のもので覆われているもの
 マテバシイ    シリブカガシ        
         
 

〇堅果は砲弾型で、白いろう状のもので全体が覆われてい る。
〇本来の自生地は九州や沖縄と考えられるが、公園や街路樹に植樹され全国的によく見かけるようになった。

 

〇堅果のへそが少しへこんでいるところからこの名があり、やはり 全体が白いろう状のもので覆われている。
〇奈良市の知恩院付近でほぼ純林をなしている。

       

 

<参考>
 どんぐりの画像は、いずれも実物の約1.5倍です。