コナラと並んで里山の重要な構成樹であり、この木の樹液には、カブトムシやクワガタが集まるため、子どもたちにも人気の木である。私などは、ブナ科の中で一番最初に名前を覚えた木で、100m先からでもクヌギと同定できた。もともと西日本の温暖帯地域には自生しない樹木だが、成長が早く萌芽更新をするので、薪炭用に植林されてきた。試しに20〜30cmの背丈のクヌギを植えてみると、5〜6年で直径10cmを越え、ノコギリクワガタやスズメバチが集まりだした。
コルク層が発達した特徴のある樹皮で、近年は、シイタケ菌を植えつけるためのホダ木としても利用されている。
橡の 衣は人皆 事なしと 言ひし時より 着欲しく思ほゆ (7巻-1311)
橡の 解き洗ひ衣の あやしくも ことに着欲しき この夕かも(7巻-1314)
万葉集では、クヌギは「橡(つるばみ)」の名でしばしば登場する。上の2首は、クヌギのどんぐりで染めた衣が、当時
若者の間で話題にのぼっていたことがうかがえる。万葉人のファッション感覚を知る上でも興味深い。
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