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ブナ (椈)

ブナ科ブナ属

 

高野辻(2010/OCT)

弥山(2005/OCT)

葛城山(2007/NOV)

   

高野辻(2010/OCT)

高野辻(2010/OCT)

 
   

  1年成で、堅果は棘のある殻斗に包まれ、4裂した中から2つの三角錐型をした堅果があらわれる。冬眠前の動物にとっても大切な食料源、油脂分も豊富でヒトも生食でき美味しい。ツキノワグマも好んで食べるというが、その大きさから彼らの胃袋を満たすのはむしろミズナラの方だろうと思われる。
 ほぼ5〜7年に1度豊作の年があると言われているが、実際は不規則である。
不作年に種子食性昆虫の密度を低下させ、翌年の豊作年に捕食者が食べきれないほどの花(種子)を生産して、種子の生存率を高めるという「捕食者飽和仮説」などがよく知られている
 一方、ブナには自家不和合性や近交弱勢も認められており、隔離集団ではシイナ(空の実)が増加すると言われている。さらに、ブナヒメシンクイなどによる虫害もたいへん多く、実のしっかり詰まった健常な堅果にはなかなか出会えない。

葛城山(2007/SEP)

大台ケ原(2005/OCT)

 

 落葉高木。側脈は711対前後で、日本海海側のものに比べて太平洋側のブナは11枚の葉が小さい。ブナの葉は黄色に紅葉する。イヌブナは歯の裏の葉脈に毛があり、側脈も1014対と多く容易に区別できる。

 
大台ケ原(2005/OCT)   大台ケ原(2005/OCT)


弥山(2001/JUL)

 


弥山(2001/JUL)


大台ケ原(2005/OCT)

 


明神平(2008/JUL)

 

大台ケ原(2007/ACT)

 

大台ケ原(2005/OCT)

 

雄花/釈迦ヶ岳(2015/MAY)

 

雌花/釈迦ヶ岳(2015/MAY)

   

 世界自然遺産に登録されている白神山地のブナ林が有名で、緑のダムの重要な構成樹としても広く人々に知られるところとなった。紀伊山地では標高1000m付近から群落が見られ、下層部ではミズナラやイヌブナと混生している。西大台のまっ黄色に染まるブナ林の紅葉は美しいが、葛城山や金剛山の山頂付近にも自生し比較的アプローチしやすい。また、標高600m余りの御破裂山(桜井市)にもブナの大木がわずか1本見られたのは興味深い。
 樹皮には地衣類やコケ類が覆っていて、本来の地肌がなかなか見えないが、ブナは雨水を集めやすい樹型をしていて、はがれにくい樹皮とこの樹幹流が地衣類の生育に関係しているとも言える。また、冬山に登ると裸木のブナに常緑の葉が見られるが、ヤドリギの寄生である。

 成長が遅いため年輪はきれいだが、材は堅くて重い。しかも深山に自生するため切り出してくるのが困難で
腐朽しやすいため、スギやヒノキを植林するために皆伐されては、その場に無用の材として放置された。ブナには「木」偏に「無」という漢字をあてることもあるが、この不名誉はそうした経緯があるのかもしれない。一方で、家具材や床材などにも利用されている。

 北・本・四・九