マテバシイ (全手葉椎、馬刀葉椎)
ブナ科マテバシイ属
橿原神宮(2007/OCT)
橿原神宮(2010/OCT)
恩納村(2012/OCT)
2年成で、殻斗は鱗状で浅い。堅果は砲弾型で明るい薄茶色、白いろう状のもので薄く覆われているためすぐ見分けがつく。シリブカガシと同様、へそが少しへこんでいるのが特徴。 橿原神宮では、スダジイと共に最初にどんぐりを実らせる。生食できるが、粉っぽさが舌に残る。
常緑高木。全縁(葉の周辺が鋸歯でない)で、葉裏は淡緑色。
県民の森・恩納村(2012/OCT)
金剛山麓(2004/OCT)
雄花・紀北青少年の家(2015/MAY)
雌花・紀北青少年の家(2015/MAY)
マテバシイ属の樹木は世界全体では100種以上知られているが、主に東南アジアの熱帯〜亜熱帯の山地に分布しており、シリブカガシやマテバシイは、最も北に進出した種である。シリブカガシは中国南部・台湾にも分布するが、マテバシイは日本固有種である。したがって、本来の自生地は九州や沖縄などの暖かい地方(一部、房総半島や紀伊半島の南端も含む)で、「サツマジイ」という呼び方もある。しかし最近では、公園や街路樹として植栽されたものをよく見かけるようになった。奈良県内では、橿原神宮などにも多いが、やはりいつかの時代に植樹されたものであろう。 沖縄本島のやんばるの森(国頭村)や県民の森(恩納村)を訪れた際、本来の自生する姿を初めて見た。とりわけ、県民の森では尾根筋に群落が見られたが、ここも二次林のようで大木は見られなかった。沖縄の子供たちには、最も親しみのあるどんぐりの1つである。 ブナ科の樹木の多くは風媒花であり花はだらりとぶら下げているのに対して、マテバシイ属は虫媒花で、虫を誘うように花も上向きに付ける。 本・四・九・沖