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どんぐりの秘密

  「どんぐりころころ」の歌にうたわれているように、ブナ科の木たちはたくさんのどんぐりを実らせ、「重力散布」によってその自生地を広げようとするが、それぞれのどんぐりを食料や産卵場所として利用し生殖を繰り返すゾウムシたちがいる。そこでブナ科の木たちがとった戦略は“成り年現象”。まさにお互いに命を懸けた攻防が繰り広げられている。
 しかし、どんぐりたちにとっては、アカネズミたちに遠くへ運んでもらって自生地を広げようとする「動物散布」という戦略もある。 傾斜のゆるやかな里山などの場合、「重力散布」では足元にしか種子を落とせないので、そういた捕食者たちによる散布がむしろ現実的だ。そして、彼らの中には、貯食といった行動を持ち合わせているものもいる。落としたどんぐりを全部食べられてはいけないが、見向きをされなくなってもいけない。そこには“タンニン”という成分がキーワードとなって、攻防が繰り広げられる。

森の文庫

 私がお薦めする“どんぐり学”のこの一冊。ご参考にどうぞ!

 

書  名

くりんとのレビュー

森の文化史 
只木良也・著/講談社学術文庫

 わが国で、人々は森林とどのように接してきたのか。日本の環境破壊は弥生時代に起こっていたとする著者の見解に、共鳴することも多い。

図説日本の植生 
沼田眞、岩瀬徹・著/
講談社学術文庫

 北海道から南西諸島まで細長く伸びる列島には、亜寒帯から亜熱帯にわたる気候のもとに多様な植物が存在する。その気候ごとの植生を詳細に解説した一冊。

鎮守の森
宮脇昭・著/新潮文庫

  著者は、国内外でじつに3000万本を越す植樹活動続けてきた植物界の世界的権威。植樹には、その土地の潜在自然植生の樹種を植えようと唱え、日本全国の鎮守の森の植 生にその道を指し示す。

ドングリの謎
盛口満・著/どうぶつ社

  どんぐりに関する本は数多かれど、世界のどんぐりにも詳しく実際に拾い集めて書かれた内容は一読の価値あり。また著者は、“拾いもの”に夢中だった少年が理科教師になり、やがて、沖縄に移り住むまでの熱中人というユニークなキャラクターでもある。

どんぐりの図鑑
北川尚史・監修,伊藤ふくお・著
トンボ出版

 日本に自生するどんぐりの木は約20種。そのすべてをどんぐりのみならず、それぞれの殻斗や葉、木肌、発芽の写真までが掲載されていて、同定にも便利である。

葉で見わける樹木
(フィールド・ガイド22)

林 将之,和田 浩志・著/小学館

  植物の同定には、花や果実を見ることによって判別しやすいのだが、とどのつまり葉っぱにたよることが多くなる。その葉っぱの特徴を網羅したありそうで数の少なかった葉っぱの図鑑。

フィールドガイド足跡図鑑
子安和弘・著/日経サイエンス 

 哺乳類が残した足跡や糞、食痕などから、その動物を追跡することを「アニマル・トラッキング」という。これから始めようという方にも、とても親切な内容である。