【考察】
○ 河童の好物はキュウリで、キュウリを使った巻き寿司は「河童巻き」と言うぐらい有名である。川の主として登場させられる河童は、子どもたちの水難事故防止の役割が多く、遊泳シーズンの時期のお供え物として、夏野菜のキュウリが選ばれた
と思われる。
○ 奈良のガタロは、しばしば「尻の穴(骨)を抜く(吸う)」という表現で恐れられる。当初、この意味がよくわからなかったが、他県では「尻子玉(しりこだま)を抜く」とも表現され、尻子玉とはヒトの肛門内にあると想像された架空の臓器である。溺死者の肛門が、まるで尻から何かを抜き取られたかのように広がっていたことからきているとされている。つまり、溺れ死んだ人は河童に尻子玉を抜かれたと戒められていたわけで、遊泳に危険な場所に、しばしばガタロが登場する由縁でもある。
【フィールドワーク】
○ 瀧上寺前を通りがかった比較的ご高齢の方にお話を聞くが、ガタロの話を知らない人がほとんどであった。お一人の女性が、「この裏を銚子の渕というて、昔、ここのお坊さんがオシッコに行った時に、お尻をガタロになぜられた」という話を伝え聞いていた。 |