【カエデのなかま】
大台ケ原ではカエデ科の種類も多く、ブナ林に混じってオオイタヤメイゲツが目立つ。他には、コハウチワカエデ、ヒナウチワカエデ、アサノハカエデ、コミネカエデ、イタヤカエデなども多く、珍しい所では中道にナンゴクミネカエデ、西大台の開拓付近にはチドリノキを見つけることができる。初秋、登山道には一足早く黄色に紅葉した大きなカエデのような葉が散乱していることがあるが、これらはハリギリの葉である。イタヤカエデと見間違いそうだが、よく見ると小さな鋸歯があり、さらのこの木の樹皮にはコルク層が発達して若木には棘もある。
紅葉のメカニズムは、ご存じの方も多いが次のように説明されている。落葉広葉樹は秋が深まると休眠状態に入るため、葉と枝のあいだに「離層」という仕切りをつくり葉を落とす。やがて、葉の緑色の成分であったクロロフィル(葉緑素)は分解され透明感が生まれる。すると、葉の黄色色素「カロテノイド」が目立つようになる。一方、紫外線は植物にとっても有害であるため、「アントシアニン」という赤色色素が増え紫外線から防御していると言われている。こうした色素の変化は、最低気温の変化や地形の湿度にも影響を受け、また年によってもずいぶん異なる。 |