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大台ケ原のコケ図鑑


シダとは、維管束をもった陸上植物の中で、胞子による繁殖を行う植物です。
○花をつけない
○胞子で増える
○根・茎・葉がはっきりしている
身近なシダには、食用に採取するものとして、ワラビ、ゼンマイ、スギナなどがあり、正月の注連飾りなどではウラジロが使われます。

シダを観察するポイント
○葉身全体
○胞子嚢群(ソーラス)
○葉柄の基部にある鱗片(りんぺん)
○生えているまわりの様子

以下、しだのすみか木下茉実さんを講師にお迎えし、大台ヶ原パークボランティアの会でシダの学習会を行った際の調査結果です。シダの生育環境としては、東大台などの標高が高い地域は種類が少なく、むしろ、ドライブウェイを下るほどシダの多様性が見られますが、まずは東大台を中心に同定できたものです。
【参考文献】「くらべてわかるシダ」(山と渓谷社)

【極小の葉のシダ 〜シダらしくないシダ〜】    
エゾヒカゲノカズラ(蝦夷日陰の葛)   マンネンスギ(万年杉)
 

@ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属 
A西大台(2024.9.30.)
B茎には針のような葉が密生。葡萄茎から側枝が立上がり、長い柄の先に胞子囊穂をつける。名前のわりに、日当たりを好む。ヒカゲノカズラの4倍体型。

 

@ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属トクサ科トクサ属
A西大台(2024.9.30.)
B比較的標高の高い地域に生育する。常緑性。地下をはう葡萄茎から地下茎が立上がり、明確な胞子囊を付ける。
 

   
トウゲシバ(峠芝)    
 

@ヒカゲノカズラ科コスギラン属 
A中道(2024.8.25.)
B薄暗い林床に群生。葉の付け根に黄白色の大きな胞子囊が1つずつ付く。

  C茎の頂点近くにムカゴ (無性芽)ができ、普通これで繁殖する。
 
   
スギナ(杉菜)    
   

@トクサ科トクサ属 
A大台ヶ原駐車場(2024.8.25.)
B地上茎は、葉緑素をもたない胞子茎と緑色の栄養茎に分かれ、地下茎でつながっている。胞子茎はおなじみの「つくし」。

   
   
【1本の柄に2形の葉が付くシダ】   【コケのように薄い葉のシダ】
フユノハナワラビ(冬の花蕨)   ホソバコケシノブ(細葉苔忍)
 

@ハナヤスリ科ハナワラビ属 
A大台教会周辺(2024.8.25.)
B明るい草地や林下に生える冬緑性。1本の共通の柄(担葉体)の上に栄養葉と胞子葉を持つ。名前にかかわらず、秋の初めには茎を伸ばし始める。十津川では「ジジババ」と言うらしい。

 

@コケシノブ科コケシノブ属 
Aシオカラ谷(2024.8.25.)
B山地の湿り気のある岩上に生育する常緑性のシダ。葉縁に鋸歯はなく、葉裏に毛はない。根茎は針金のように長くはう。

   
【単葉のシダ】    
ノキシノブ(軒忍)    
   

@ウラボシ科ノキシノブ属 
A大台教会周辺(2024.8.25.)
B平地〜山地、石垣・岩上・樹幹などに多い常緑性。葉の大きさや形の変化が大きい。

 

 

   
【羽状に切れ込む葉のシダ】    
コバノイシカグマ(小葉の石かぐま)   イヌシダ(犬羊歯)
 

@コバノイシカグマ科コバノイシカグマ属 
A大蛇ー(2024.10.6.)
B山地林下に生育する。常緑性で群生し、鹿が好まないため大蛇ーなどによく残っている。
 

 

@コバノイシカグマ科コバノイシカグマ属 
Aシオカラ谷(2024.8.25.)
B山地や山麓の日当たりの良い崖地や斜面に生育。胞子葉は冬に枯れるが秋に出る栄養葉は越冬する。葉柄に毛が多いが、鱗片はない。

   
ゲジゲジシダ(蚰蜒羊歯)   ミヤマワラビ(深山蕨)
 

@ヒメシダ科ミヤマワラビ属 
A大台教会周辺(2024.8.25.)
B低地の山野に多い夏緑性のシダ。表裏に毛が多く、左右にジグザグ。最下裂片が中軸に流れ込む。

 

@ヒメシダ科ミヤマワラビ属 
Aシオカラ谷(2024.8.25.)
Bブナ帯以上の深山の林下に多い夏緑性のシダ。全体に毛が多く、最下裂片が中軸に流れ込む。

   
ヘビノネゴザ(蛇の寝茣蓙)   ハクモウイノデ(白毛猪の手)
 

@メシダ科メシダ属 
Aシオカラ谷(2024.8.25.)
B別名:コイヌワラビ、カナヤマシダ。低山〜高地に生育し、夏緑性。形の変異が大きく、小さな個体は容姿が異なる。鉱脈の指標植物でもある。

 

@メシダ科シケシダ属 
A大台教会周辺(2024.8.25.)
B産地のやや湿った林床に生育。下部羽片は縮小し、葉柄や中軸に白い毛や鱗片。
 

   
シシガシラ(獅子頭)    
   

@シシガシラ科シシガシラ属 
A大台教会周辺(2024.8.25.)
B山地林下に多い常緑性。葉は二形で、ロゼット状に広がる。 獅子のたてがみに似ることからの命名か。新芽は紅紫色だったりする。日本以外では見出されない固有種。