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大台ヶ原から富士山遠望

2022年11月3日
 
2025年6月29日ダイヤモンド富士   2022年7月3日

 奈良県からの富士山遠望地として、大台ヶ原山をはじめ、高見山、三峰山、古光山南峰、さらに大峰山脈の各峰々が知られている。また、近年では、奈良市と宇陀市の境に位置する標高812.3mの大和富士(額井岳)からも望めることが、テレビニュースで話題となった。ただ、こちらの山頂付近は雑木が多く、木々の合間から探さなくてはならないという。
 一方、富士山の見える最遠の地は、和歌山県那智勝浦町の妙法山富士見台(322.6km)や妙法山より西に位置する色川小麦峠(色川富士見峠)(322.9km)が確認されている。

 富士山からの直線距離273kmの大台ヶ原では、日出ヶ岳山頂や正木峠から望める。また、山頂まで登らなくても、山頂とりつきのテラスからも見える。ここまでなら、駐車場から20〜30分だろうか。
 問題は気象条件で、見える確率の高い条件は以下のとおりである。
 @ 大台ヶ原周辺及び東海地方の各県が雲のない快晴であること。
 A 東海沖の海上で、水蒸気の発生が極力抑えられている時期であること。

 @の場合、前日の天候も大切で、雨が降っていた場合、水蒸気が半日ぐらい残っており、午前中ガスがかかっている場合がある。Aの場合、気温の高い春〜夏は、水蒸気の発生は活発であり、見える日は極めて稀である。以上の点から、空気の澄んだ11月中(11月末には閉山)が、富士見の条件としていいように思う。あるいは、台風一過、障害物となる諸々を一掃してくれ、ピンポイントで見える日もある。
 それからもう一つ、ダイヤモンド富士のタイミングである。太陽が昇る方向に富士山があり、その瞬間だけ、真っ赤な朝日を背景に富士山のシルエットが重なり見えやすいのである。ダイヤモンド富士とは、富士山頂に太陽が昇る瞬間、ダイヤモンドのように光り輝く現象のことである。富士山に近い地域だと、まさにダイヤモンドリングのように見える一瞬がよく知られている。
 大台ヶ原の場合、2025年は、6月10日〜13日、6月29日〜7月3日の2回のべ9日間のチャンスがあった。例年、大体この時期である。後半の方だと、日の出は午前4時半過ぎである。したがって、休日と重なり、梅雨の合間の晴れの日を選んで、深夜出発の決行となる。したがって、過去十数年、なかなかダイヤモンド富士には巡り会えなかった。ただ、2025年は、6月末に梅雨が明け、またとないチャンスが到来した。

 
2022年11月3日の雨雲レーダーと天気図