バラ科サクラ属の樹木は、日本に9種が自生しているが、ソメイヨシノに代表されるように数多くの栽培品種もある。熊野地方(熊野川流域)では、ヤマザクラやカスミザクラも自生するものの、これらより約1ヶ月ほど早く開花する桜が知られていたが、ヤマザクラの範疇でとらえられていた。そして、2016〜2017年に、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所は、和歌山県林業試験場と共同で、紀伊半島南部(奈良・三重・和歌山県)に新種の野生のサクラが分布していることを
調査・確認し、日本植物分類学会が発行するActa
Phytotaxonomica et Geobotanica誌(69巻2号2018年6月30日発行)に論文が受理された。1915年にオオシマザクラの種名が発表されて以来、サクラ属ではおよそ100年ぶりの新種の発見で、「クマノザクラ」と命名されている。