● 複葉植物の戦略 |
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樹木の葉には、ホオノキのような「単葉」とトチノキのような「複葉」がある。一見、どちらも同じように葉が輪状についているが、ホオノキの場合、その中心に芽があるのに対して、トチノキの場合、その中心に芽はなく
そこから葉柄が伸びている。この目の有無がポイントで、ホオノキはその1枚1枚が独立した葉であるのに対し、トチノキの場合は、5〜6枚の子葉が集まって1枚の葉とされ、こ
うした葉を「複葉」という。トチノキは落葉樹だから、秋になると黄色く紅葉し、やがて5〜6枚の子葉が1セットとなって葉柄ごと落葉する。
また、「複葉」には三出複葉と掌状複葉、さらに羽状複葉に分類され、下の図のように分裂葉を経て複葉に進化したと考えられる。 |
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ホオノキ(単葉) |
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トチノキ(複葉) |
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不分裂葉 → 分裂葉 → 掌状複葉 |
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不分裂葉 → 分裂葉 → 羽状複葉 |
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山菜の王様と呼ばれその芽の味覚が珍重されるタラノキの場合、2回羽状複葉で1m近くにも成長する。枝として残してもよいような大きな葉柄を毎年
落とすわけで、なんともエネルギー効率が悪いように思われる。しかし、枝として維持するには木質化させる必要があり、それはそれでコストがかかる。タラノキの場合、枝を張り巡らせ
て太陽光を得るということへの投資を避け、とにかく主幹だけをいち早く上に伸ばし太陽光を獲得することを選んだ。
複葉をもつ植物の共通点は、陽樹であるということ。ギャップができた場所で、いち早く芽を出しだれよりも早く成長しようとする植物である。
ウコギ科やウルシ科の仲間をはじめ、カラスザンショウやネムノキ、オニグルミ、クズなど法面や裸地などに多く見られるパイオニア植物だ。また、クズやアケビ、フジなどのつる性植物にも複葉は多く、つるを上へ上へ伸ばそうと
することを優先させ、大きな複葉で太陽光を得ている。 |
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● 複葉の分類 |
さんしゅつふくよう
三出複葉 |
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【ウコギ科】
タカノツメ
【ウルシ科】
ツタウルシ
【カエデ科】
ミツデカエデ
メグスリノキ
【アケビ科】
ミツバアケビ
【マメ科】
クズ
【ミツバウツギ科】
ミツバウツギ |
ツタウルシ |
しょうじょうふくよう
掌状複葉 |
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【トチノキ科】
トチノキ
【アケビ科】
アケビ
【ウコギ科】
コシアブラ
ヤマウコギ |
コシアブラ |
うじょうふくよう
羽状複葉 |
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【クルミ科】
オニグルミ、サワグルミ
【ミカン科】
サンショウ、キハダ
カラスザンショウ
【ウルシ科】
ヌルデ、ハゼノキ、
ヤマウルシ
【バラ科】
ナナカマド
【ニガキ科】
シンジュ、ニガキ
【マメ科】
ハリエンジュ、フジ |
ナナカマド |
2回
羽状複葉 |
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【ウコギ科】
タラノキ
【マメ科】
ネムノキ、サイカチ
【センダン科】
センダン |
タラノキ |
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