Nature Guide
                         くりんとの自然観察ガイド

           
   
 マルハナバチのなかま
ミツバチ科   特徴

オオ
マルハナバチ

♀女王
葛城山
2012.4.29.


【体長】
♀(女王)20〜23mm、♀(ワーカー)12〜17mm
【分布】
北海道〜九州(山地〜平地)
【同定ポイント】
○お尻の先はオレンジ。
○腹部第2節に明色の帯が明確に出る。
○深い蜜源の花は苦手で盗蜜を行う。(※左図)

クロ
マルハナバチ

♀女王
金剛山
2013.5.6.


【体長】
♀(女王)21〜24mm、♀(ワーカー)12〜19mm
【分布】
本州〜九州
【同定ポイント】
○お尻の先は濃い鮮やかなオレンジ。
○黒色の密毛に覆われ、毛先は短く刈り込まれたようなビロード状。


マルハナバチ

♀女王
金剛山
2012.4.30.


【体長】
♀(女王)17〜20mm、♀(ワーカー)10〜16mm
【分布】
北海道〜九州(平地)
【同定ポイント】
○お尻の先はオレンジ。
○毛は長くて毛先はそろわず、毛色も変化に富んでいる。

トラ
マルハナバチ

♀ワーカー
葛城山
2011.10.7.


【体長】
♀(女王)19〜23mm、♀(ワーカー)12〜18mm
【分布】
北海道〜九州(山地〜平地)
【同定ポイント】
○お尻の先は黒。
○舌が長く、ツリフネソウやイカリソウなど深い蜜源の花も得意である。

ミヤマ
マルハナバチ

♀ワーカー
山上ヶ岳
2011.8.29.


【体長】
♀(女王)16〜19mm、(ワーカー)10〜16mm
【分布】
北海道〜九州(山地・高原)
【同定ポイント】
○胸部側面と腹部の毛は鮮黄色
○本州産のなかでは、コマルハナバチと共に最も小さい。

 初期の虫媒花は、甲虫などに花粉を食べさせていたが、やがて、花粉に代わるものを作り出すようになった。それが花の蜜だ。しかし、甲虫の体は滑らかで花粉が付きにくく、ポリネータ―としては効率が悪かった。一方、昆虫の方にも、蜜を吸うために進化させた口をもつチョウやハチの仲間が登場してきた。なかでもハナバチ類は、幼虫を蜜と花粉で育てる、極めて花に依存した昆虫である。しかし、花粉を運んでくれる虫が、必ずしも同じ種の花に向かってくれる保証はない。やはり、ポリネータ―としてはまだ効率が悪い。
 そこで、ホタルブクロやツリフネソウ、トリカブトの仲間のように、一対一の独占契約を結んだ花と虫がいる。例えば、トリカブトの仲間の花の場合、
蜜腺は上萼片の一番奥の距にあり、そこにもぐりこんだマルハナバチを2枚の側萼片 がしっかりと抱擁する。それによってマルハナバチを雄しべと雌しべに効率よく接触させる。この花を利用できるのは長い口吻をもったトラマルハナバチなどに限られるというわけだ。このように、どんな昆虫でも難なく蜜を吸うことのできる平たい花の形から、複雑な仕組みをもつ立体形に進化を遂げたが、それはマルハナバチとの共同の進化といえる。
 ただ、ハチの社会にもしたたかな奴がいる。ずんぐりした体形で黄色い毛でくるまれた胸部が特徴のクマバチは、花の裏側から穴を開け、直接蜜を吸ってしまうのだ。オオマルハナバチなどは舌が短く、カタクリやツリフネソウだとなかなか蜜の在りかまでたどり着けない。 彼女たちもまた、ちゃっかり盗蜜していく術を心得ているのだ。
 花と昆虫との攻防戦に魅了された私は、マルハナバチを追いかけた。

 
 
   

 
   

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