高野山から龍神温泉、さらには南部町に至る高野龍神スカイラインは、人気の山岳道路である。週末ともなると、道の駅ごまさんスカイタワー隣接の駐車場はすぐに満車となり、ルート上一番人気の休憩スポットである。和歌山県最高地点は、ここから坂道を歩いて10分ほどの標高1372m護摩壇山であったが、近年、国土地理院の再調査により、少し東にある峰の方が高いことが判明。2009年に、和歌山県最高地点は1382mの龍神岳ということになった。道の駅が標高1300m付近に位置するわけで、周辺にはミズナラやブナの木々を愛でることができ、秋にはどんぐり拾いや紅葉を楽しむことができる。

この道の駅からドライブウェイを北に500〜600m進むと、東に伸びる林道の分岐がある。舗装道路で尾根筋に沿っているため眺めも良く、口千丈岳登山口まで車を走らせる。道路脇を選べば十数台は駐車できるだろうか。ここから伯母子岳まで片道約5km。尾根に沿い、しかも、登山道にしては桁外れな広い道。4WDの軽トラなら走れそうな道が、最後まで続いた。地元の方の話によると、「歴史街道」づくりの事業に伴って25年ほど前に整備されたそうだ。
2024年の秋は、「クマ棚」と呼ばれる採食痕跡に多く出くわした。ブナ科の堅果(どんぐり)を食べるため樹上に登り、枝を手元に引き寄せて貪るのだが、その際、折れた枝が樹上に残り、積み重なって鳥の巣のようになったものを「クマ棚」という。東京農工大や森林総合研究所の研究(2018)によると、凶作の年ほど「クマ棚」が多く作られ、結実量の多い木を選んで効率的に採食するそうである。豊作の年は、樹上に登らなくても、あちこちの木が地面にたくさんのどんぐりを落としているからだろうか。この尾根筋では、堅果が大きいミズナラの木ばかりに「クマ棚」が見られた。そして、登山道の脇には、ツキノワグマの大きな糞が転々と。
尾根筋を歩く登山道ということで、右左に展望がきき、かつ、アップダウンが穏やかであるため人気のコースである。 |