左・伯母子峠(三浦口)、中・伯母子岳山頂、右・護摩壇山 <PM3:04> |
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伯母子岳(おばこだけ)山頂を目指して
熊野古道小辺路は、熊野三山と高野山を結ぶ最短経路で、参詣者のみならず商人や庶民も利用した生活道路である。
今回、選んだコースは、野迫川村殻十津川村にかけての大股〜三浦口間。
ただし、このルートは、現在の旅行者にとっては最も交通の便が悪く、マイカーを利用して野迫川村大股の登山口に立ち、十津川村三浦口におりたったとしても、帰るすべが容易には見つからない。
そこで、このルートの中間地点にあたる伯母子岳山頂まで登り、今回はそこで折り返
し、もう半分の「山頂〜三浦口間」は、別の機会に、三浦口側から登ることにた。
したがって、「伯母子岳登山」と言いかえることもできる。
7月29日というのに、今年の梅雨明けは遅く、近畿地方はこの日も発表されていない。(翌日、気象庁より発表。)
しかし、盛夏を思わせるような青い空、ヒグラシの大合唱のなか、「この時期は、どんな山野草がでむかえてくれるのだろう?」と意気揚々
、大股の集落を出発した。 |
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<熊野古道・小辺路> |
起点 |
峠(標高) |
距離(所要時間) |
高野山 |
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↓ |
水ヶ峰 |
19.3km(9時間) |
大股 |
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↓ |
伯母子峠 (1080m) |
16.0km(7時間) |
三浦口 |
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↓ |
三浦峠 (1246m) |
21.7km(10時間) |
十津川温泉 |
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↓ |
果無峠 (1114m) |
11.3km(5.5時間) |
八木尾 |
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↓ |
三軒茶屋跡 |
5.6km(1.5時間) |
熊野本宮 |
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大股登山口<PM12:48出発> |
アカマツ林が続く、秋にはマツタケ? |
萱小屋(廃屋跡)<PM1:33> |
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途中、夏虫山(1348.5m)をのぞむ |
この時期、山野草は少なかった |
桧峠<PM2:18> |
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整備され過ぎた古道
実は、15年以上も前に一度、このコースを歩いて伯母子岳に登ったことがある。
その時は、山頂を目指しての登山目的で、熊野古道そのものの存在を知らなかった。
しかし、登山道にありがちな岩ゴロゴロの悪路ではなく、数百年いや千年以上もの間、人々が行きかい踏みしめたと直感できる「道」としての存在感が感じられた。
茶屋だったと思われる廃屋を見つけては、一層その叙情を味わうこともできた。 |
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今回も、そうした古道を楽しみに再び野迫川村に車を走らせたのだが、登り始めて1時間、何かが違う。
15年前の空気が、もはや流れていない。
次の尾根を越えればと先を急ぐが、「古道」がなかなか現れてこない。
重機らしきもので「古道」が整備された様子がうかがえると共に、ところどころに右写真のような古道(?)も現れてくる。
以前に、マスコミ報道で耳にした記憶があるのだが、「世界遺産指定に合わせて、村が進めた古道整備に、訪れた人々が愕然とした」というニュースは、まさにこのことだったのか。
大股から伯母子岳まで、すべてルートが写真のような整備状況ではないが、これまで歩いた「果無峠越え」や「三浦峠越え」のルートに比べると、一 |
整備(?)された古道の一部 |
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番お薦めできない熊野古道小辺路になってしまった。こうした過剰な、いや誤った整備は、高野・竜神スカイライン沿いの「高野山〜大股間小辺路」にも見られる。
一方、伯母子岳山頂から望む熊野の山並みや護摩壇山に続く稜線の美しさは絶景であり、伯母子峠から十津川へ下るルートには楽しみが残る。
失われた古道を取り戻すことは難しいかもしれないが、先人が仰いだ風景や自然はまだまだ残っている。
古道の歴史は、これからも刻まれていく。 |
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伯母子岳山頂(1344m) <PM3:20登頂>
※経過時刻には、途中の昼食や休憩タイムを含む。 |