金剛山にも、厳冬期には氷瀑が現れると聞く。奈良県内では、川上村の御船の滝の氷瀑が有名だが、こちらは標高900mの秘境にある滝ゆえの氷瀑であり、都市部に近い金剛山に氷瀑ができるのかどうか半信半疑であった。
その金剛山の氷瀑の1つが、ツツジ尾谷現れる。ここの氷瀑は知る人も多く、積雪期の週末はルート上が混雑する賑わいだ。まず、高畑(タカハタ)道から入山するが、このルートは山頂広場近くの六地蔵尾根に続き、ゴールデンウィークの頃にはイチリンソウの開花が見られる。
まず、谷沿いの登山道は平坦でやがて腰折滝に到着する。この滝を過ぎたところに、ツツジ尾谷への分岐があり、右とって丸太橋を渡る。積雪期はこの辺りから雪が深くアイゼンが必要となるが、
厳冬期は登山道も氷結しており、4本爪では心細い。はたして氷瀑の完成形が見られるのか、あるいは崩壊しているのか気になるが、この時期、登山客も多く、自分のペースでは歩けない。
いよいよ一ノ滝が見えてくると、この滝の氷結具合で二ノ滝の状態も予測できる。やがて、二ノ滝が近くづくと人だかりが見られ、氷瀑が目に入って
きた。滝壺というほどの渕はないが、滝足下に近づくとなかなかの迫力である。流れの中心から飛散した水しぶきが岩肌を濡らしやがて氷の壁を何層にも成長させていった様が氷瀑の形成過程だと読み取れる。大きな氷柱は恐竜の牙にようにも爪のようにも見える。地図から読み取るとここは標高800m付近。瀬戸内海の影響を受けた温暖な大阪平野の辺境にあり、草木も岩をも凍らせるほどの寒冷地ではないため、ちょっとした気温の上昇で、この氷瀑もあっけなく姿を変えてしまう。週末しか休みの取れない者にとって、完全氷瀑に出合うには、シーズン中
何度もチャンス
はない。ちなみに、積雪が多い日に完全な氷瀑が見られるわけではなく、シーズン1,2の寒波によって夜の気温がどこまで下がるか条件のようである。上写真が見られた日は、山頂付近の温度計が-7℃(正午)を示していた。
二ノ滝の左手に登攀ルートがあるが、ここがこのルート随一の難所で、おのずと登山者の渋滞も発生するところだ。ここを登り切ると、二ノ滝の滝口に出る。ただ、この滝口から滝壺を眼下に望むことはできない。この先、ルートは二手に分かれるが、左をとると高畑道地蔵付近に、右をとれば山頂広場付近に出る。 |