Mountain Guide
                         くりんとの登山ガイド

           
   
 人工林の中のお花畑ショウジョウバカマ (天狗谷道)

ショウジョウバカマ(キャンプ場付近)

 大阪府側から葛城山を登るルートとして、弘川寺道と天狗谷道がある。天狗谷道は水越トンネルの大阪側出口青崩という集落から登るが、標識があるので登山口は見つけやすい。車は、旧309号線沿いの石筆橋付近に駐車することができる。青崩の集落をぬけ、葛城山麓に拓かれた段々畑の最終地点あたりで後ろを振り返ると、太尾や石ブテ尾根など金剛山の襞というべき山並みがパノラマのように迫ってくる。 (※上写真)
 人工林の中の沢沿いに登山道が伸びるが、2013年の台風ではずいぶん荒れたようだ。逆に、落ち着かない川底には、きらきらと光る雲母がみられる。ここもやはり三波川変成帯の北辺に見られる花崗岩帯なのだ。この道を、ほぼ日課のように上り下りする高齢の方もおられるようで、軽い足取りが午前中だというのに下山してくる。
 1時間前後で尾根(標高788m)に取りつくとベンチがある。ヤマザクラの大木もあり、ここから落葉広葉樹林も見られるようになる。登山道には大きなコナラのどんぐりがたくさん落ちているが、今年は成り年のようだ。あとモチツツジやムラサキシキブ、ダンコウバイ、コマユミ、やがてイヌブナなどにも出会える。もはや急な登りはなく、古道を楽しむかのようなルートだが、やがて左手に林道が平行して見え隠れする。弘川寺から延びるこの林道は整備も行き届いており、登山者のためものというより、林業がここ葛城山でも今なお元気であることがわかる。(※後述)

【ショウジョウバカマ群生地】
 キャンプ場まで行き着くと山頂は近い。このキャンプ場の50mほど手前の人工林の中に、ショウジョウバカマの群生地が見られる。ただし、開花時期はカタクリと同じ4月中旬〜下旬である。
 この植物は、ヒトデのように地面に張りついたロゼット葉の、それぞれの葉先から、新たな発芽が見られ、幾何学的な分布模様をなす。ロゼット葉をもつ植物(タンポポ等)は、葉を支えて地上から持ち上げる茎を作る必要がない省エネタイプの植物で、この利点をいかすには、競合する植物があまりいない 時期・場所を選ばなければならない。したがって、広葉樹が芽吹く前の早春、湿度の高い裸地を好んで自生する。
 この群生地はスギの木立にある薄暗い林床で、その隙間からも光が差す。 たくさんのショウジョウバカマの中から、選ばれた“プリマー”だけにスポットライトが当たっているかのような光景は、映画の一シーンのよう にも映る。

【高密度路網による省力林業経営】
 葛城山頂近くの北斜面に、大阪府の指導林家大橋慶三郎氏の所有する約100haの山林がある。林内作業路を高密度に整備した独自の省力化林業が、第32回農林水産祭林業部門の天皇杯を受賞するなど、全国的に高く評価されている。2005年11月、機会があって大橋氏直々のご案内で現地を歩いた。
 日本の林業をとりまく情勢はかなり厳しく、紀伊山地でも、採算が合わないため手入れの行き届いていない人工林が多い。そんな中、数十年にわたって独自の方法により自力で逐次開設した作業道は、路網密度247m/haにまで達し、間伐等の諸作業を容易にかつ敵期に、効率よく組み込める状態にある。森林は、林業経営のためだけに存在するのではなく、近年注目されている二酸化炭素貯留機能や水源涵養機能など公益的な機能を果たす役割も大きい。

葛城山麓より金剛山系を望む
 
天狗谷登山口付近   尾根に出ると葛城山頂付近が望める
 
 
 
   

 
   

Copyright (C) Yoshino-Oomine Field Note