Mountain Guide
                         くりんとの登山ガイド

           
   
  カタクリ大群落とギフチョウ (葛城山麓公園〜自然研究路〜北尾根登山道)

カタクリ(自然研究路)

 二上山の山麓にある屯鶴峰を北の起点とし、紀泉山脈の槇尾山を西のゴールとする全長45kmの縦走登山道を「ダイヤモンドトレール」(略称:ダイトレ)と名付けている。1970年頃、自然公園事業に基づいて大阪府(管理区間 36km)と奈良県(同 9km)が整備した歩道で、その後もトイレの整備や景観づくりなど保全事業が行き届いている。
 葛城山頂へは、水越峠からとりつくダイトレが利用しやすいが、二上山側から伸びるダイトレの場合も、途中エスケープルートが幾つもある。この項では、葛城山麓公園からダイトレ稜線にとりついて山頂をめざし、帰路は北尾根登山道を下るルートを中心に紹介したい。

● 葛城山麓公園〜ダイヤモンドトレール〜葛城山
 葛城山麓公園の中を一番奥まで侵入すると墓地手前に駐車場がある。ここに車を置いて笛吹山を目指す忍海道入口を探すのだが、そうした標識もなく、公園を取り囲むフェンス柵の外にやっと登山道を見つけた。(※墓地手前を右折すると鉄格子の扉が施錠されており、その外側に忍海道がある。)
 公園からしばらくは、コナラやクヌギ、アベマキを中心とした雑木林で、4月下旬だとハナイカダやヤマツツジの開花が見られる。モチツツジやコバノミツバツツジがピンク色の花を咲かせるのに対し、ヤマツツジは赤い花なのですぐ見分けることができる。葛城山頂付近は、5月中旬になるとこのヤマツツジが赤い絨毯となって染め上げる。急な登りがひと段落つき緩やかな尾根筋に入ったところで、ヤマザクラの大木に遭遇する。この付近に笛吹山山頂(568m)がある。
 「早くダイトレの稜線を歩きたい。さぞかし奈良盆地の眺めもよく気持ちいいだろうなあ」というのが、このルートのモチベーション。確かに、県道から国道へ出た整備の違いがある。しかし、葛城山頂まで残り30分というところで、終点の見えない丸太階段が次々に現れてくる。途中、自然研究路を利用したエスケープルートを促す標識もあるが、ここは王道ダイトレをと選択したことに後悔の念が生じる。(笑)キャンプ場が見えれば、いよいよ山頂も近い。

● 自然研究路〜北尾根登山道
 葛城山上駅から数百メートル上ったところに葛城天神社がある。そこから程近い所に北へ延びる自然研究路周回コースの入口(入口・出口の区別があるわけではないが)があり、さらに数十メートル先の出口 へとつながっている。1周約1時間。
 前半は標高880m付近から尾根伝いに標高720m付近まで下る。やせた尾根沿いの土壌には、アカマツやツツジ類が先駆植物として優先している。またリョウブやイヌシデも多く、ウリハダカエデの大木も見られる。晩秋ならば、ウメモドキやコマユミの赤い実、ツクバネやヤブムラサキの果実も目を楽しませてくれる。また、下りきったところに橋があり、その周辺には立派なイヌブナが何本もある。登山道を注意深く見て歩くと、小さな三角錐のイヌブナの実が落ちている。
 板橋から再びもとの標高の舗装道まで登るわけだが、ゆるやかな整備された上り道はうっすらと汗をかく程度である。さて後半の見どころは、なんといってもカタクリの群生地である。ただし、開花時期は4月下旬だが、開花期のピンク色に染まった緩斜面には、思わず感嘆の声を発してしまう美しさである。かつてはこの根から、カタクリ粉を採った。この花の種子は、アリの好きな物質を付けて誘引し、アリによって散布域を広げていくという、自然の妙が存在する。また、この花にはギフチョウも集まり、共に早春を代表する“スプリング・エフェメラル(春の妖精)”である。

 北尾根登山道へは、ダイトレから直接伸びるルートと自然研究路の中間地点である板橋付近からエスケープするルートとがある。この登山道からは、ロープウェー葛城山上駅を真南に望むことができ、自然研究路沿いに保護されたヤマザクラが密集して吉野山の美しいサクラを連想させる。登山道は大雨の度に浸食されるのか、深くえぐられたU字状のところが多く、登る時のことを考えると眉をひそめたくなる。くじらの滝コースの方が、今はメジャーである由縁だろうか。途中、眺望のいいところからロープウェーが行き交うのを楽しむことができる。

 
山麓近くはクヌギなどの雑木林   ダイトレに出ると尾根道
 
ギフチョウ(自然研究路)   ギフチョウ(自然研究路)
 
 
 
   

 
   

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