Mountain Guide
                         くりんとの登山ガイド

           
   
  役行者の伝説岩橋山 【ダイトレ水越峠〜岩橋峠〜平石峠〜竹内峠】
葛城山頂959.2mより金剛山を望む

 ダイヤモンドトレールは、北の屯鶴峯(奈良県香芝市)から、二上山・岩橋山・大和葛城山・金剛山・岩湧山などを経て、南の槇尾山(和泉市)まで続く全長約45キロメートルの自然歩道である。金剛生駒紀泉国定公園の自然に親しんでもらうために、1968年大阪府と奈良県が整備し、1972年に金剛石(ダイヤモンド)にちなんで名付けられた。今では、通称「ダイトレ」として親しまれている。
 以上、ダイトレの説明を大阪府のホームページなどから引用してみたが、ダイトレ及びその山々に対する思い入れは、圧倒的に大阪府や大阪府民の方が強いように思われる。大阪府最高地点が金剛山に位置し、四季の変化が豊かな金剛生駒紀泉国定公園は、大阪府民にとって最上級のオアシスなのかもしれない。実際、大阪側からダイトレへのアプローチはすこぶるよく、鉄道や路線バスも登山客の足となる。一方、奈良県側や和歌山県側からは、公共交通機関の利用をほとんど望めない。
 さて、この度、水越峠〜竹内峠間のダイトレを歩いてみた。ダイトレに順峯・逆峯があるのかどうか知らないが、最初に、標高958.6mの大和葛城山に登ってしまえば、あとは竹内峠までそれ以上標高の高いところはない。楽勝だとふんだが、途中、岩橋山658.6mが立ちはだかっていたことは後述したいと思う。水越峠510mから大和葛城山頂までは急登だが、90分ほどで到着した。5月中旬だと、「一目百万本」と言われるヤマツツジの花が、山肌を真っ赤に染めるのだが、秋は、山頂周辺のススキが陽光に映え、楽しみな風景である。
 大和葛城山から持尾辻をめざすが、今度は随分急な下り階段が続く。以前、ここを登ってきた時には、次々に現れる階段に辟易した。持尾辻までの間に、葛城山麓公園(奈良県葛城市)への分岐があり、さらに進むとログハウス風のトイレも整えられている。持尾辻から大阪側に下ると赤阪城の支城の1つ持尾城跡がある。次に、奈良県側に近鉄新庄駅まで伸びる新庄道との分岐がある。そこには「布施城跡→」を示す標識もあり、この城は大和国人衆の一人布施氏によって築城され、1565年には、松永久秀に攻められた筒井順慶を布施城に迎えて抗戦した難攻不落の山城だったという。 石垣などは見当たらないものの、随分立派な遺構が今なお等高線を刻んでいる。

 
葛城山頂より大和三山を望む   ダイトレはトイレ(忍海道分岐付近)もよく整備されている
 
布施城本丸跡   葛城市歴史博物館の布施城模型

 当麻(葛城市)と平石(河南町)を結ぶ街道は、ダイトレ上の岩橋峠を越えるものと平石峠を通る2本があり、その両峠間に岩橋山頂がある。岩橋峠からは、標高差約90m差を見上げるような長い階段で上っていく(斜度約20°)。このルート一番の難所である。あと少しで山頂かと思われるところで、「←久米の岩橋」の標識が左手を指している。疲れか足は自然とそちらへ向いてしまった。
 その昔、役行者が葛城の神(一言主神)に命じて、葛城山から吉野金峰山へ橋を架けさせようとした。ところが、醜い容貌を恥じて夜の間しか働かなかったので、ついに橋は完成しなかった。「久米の岩橋」は、その一部分がこの山中に残されたものと伝えられており、岩橋山の名前の由来でもある。ちなみに、役行者は怒って一言主神を呪縛し谷底に落としてしまったらしい。山頂周辺には、他にも「行者苦行の跡」と伝えられる巨石・奇石が幾つも見られる。ダイトレから岩橋へはすぐ到着できるが、『河内名所図会』にも描かれている「胎内くぐり」へはさらに急坂を数百メートルも下っていかなければならない。いつしか真っ二つにひび割れた巨石が、微妙なバランスで人一人が通れるだけの空洞を作っている。これらの巨石は花崗岩と思われるが、久しぶりの筋肉痛は、この時の上り下りが影響したのかもしれない。
 岩橋山を下れば平石峠、ここには葛城二十八宿第24番経塚で、役行者の石像が鎮座する。この峠を大阪側へ下っていけば、30分ほどで役行者開山の高貴寺に到着する。土日に訪れてもほとんど人影のない寂しい山寺だが、朱塗りの山門(総門)をはじめ、左側の土塀の内側には学寮・本坊、正面を進んでいくと金堂・開山堂、奥院には御影堂があり、見事な伽藍が残っている。そして、ここには葛城二十八宿第23番経塚もある。
 竹内峠までは、もう一踏ん張り。この峠には、現在、国道166号線が通ると共に、その下には、南阪奈道路のトンネルが走っている。大阪側に国道を下っていくと、二上山万葉の森案内所があり、二上山登山の大阪側点となっている。

岩橋山の名前の由来である「岩橋」

 

『河内名所図会』より葛城岩橋図(岩橋)   『河内名所図会』より葛城岩橋図(胎内くぐり)
 
岩橋と共に鎮座する不動明王   岩橋の胎内くぐり
 
岩橋山頂三角点658.8m   平石峠の葛城二十八宿経塚(第二十四番)
 
 
 
   

 
   

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