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やまとの花手帖

 
         
         

西洋アジサイよりも日本の野にはヤマアジサイ 

ユキノシタ科アジサイ属

金剛山(2010.7.30.)

 アジサイはあまり好きな花ではない。あのボール状に花を付けるセイヨウアジサイのことだ。しかし、山中に咲く「ヤマアジサイ」に出会った時、ホッとした。日本のアジサイは 、やっぱりこうでなければいかない。その後、アジサイという種が、私のブックマークに入るようになった。
 一般に、アジサイの「花」と言われている部分は「装飾花」で、雄しべと雌しべが退化していて結実せず(中性花)、花弁に見えるものは萼(がく)である。セイヨウアジサイは、日本原産のガクアジサイを改良した品種で、 本来の花が全て装飾花に変化したものである。
 一方、アジサイの装飾花の色は、土壌のpH (酸性度)によって変化することはよく知られている。「酸性ならば青、アルカリ性ならば赤」ということだが、実際は地中のアルミニウムのイオン化量を左右する要因に過ぎず、地中のアルミニウム量や装飾花に含まれる補助色素の影響、また開花日数など複雑に絡み合う。
 山野に自生するヤマアジサイの花には、「七変化」の名の通り様々な青や紅の色が存在する。梅雨の長雨によって洗浄された山々の緑の中にあって、ささやかに主張した瑠璃色のヤマアジサイは、私の心をとらえてはなさない。

 6〜7月
 本・四・九