Home

 

やまとの花手帖

 
         
         

ヤマブキ (山吹)

バラ科ヤマブキ属

金剛山(2012.4.30.)

 マイホームを新築して庭の植栽にと、ユキヤナギとヤマブキを園芸店で購入した。やがて、ヤマブキの方は八重咲きの花をたわわにつけるほどに成長したが、 花の色は冴えなかった。その後、大塔へ通う折、国道端の落石防止ネットの網目から枝垂れる黄色い花が目につき、その名前をどうしても知りたくなった。図鑑と照らすと「ヤマブキ」であることがわか った。庭に植えたヤマブキとは異なり、こちらの花弁は一重、そして鮮やかな黄色が目に焼き付いた。「ヤマブキ色」の語源が初めてわかる。以後、私の中の「ヤマブキ」は大塔のヤマブキを指す。
 万葉集にもヤマブキが歌われている。愛しい人をヤマブキに見立て、すこしでも側にいてほしいと庭に植えたのだろうか。炎のように 火がついたヤマブキの花に、恋の深さを想像してみた。

 山吹を やどに植ゑては 見るごとに 思ひは止まず 恋こそ増され (大伴家持 巻19-4186)

 八重咲きのヤマブキは実をつけないと言うが、奈良時代にはすでに人々のすぐ近くに存在していたらしい。こちらは叶わぬ恋をヤマブキに例えたようだ。いずれの歌も、大塔のヤマブキを知ってから理解が深まった。

 花咲きて 実はならねども 長き日(け)に 思ほゆるかも 山吹の花 (不明 巻10-1860)

 4〜5月
 北・本・四・九