Home

 

やまとの花手帖

 
         
         

九州で蒲公英と言えばシロバナタンポポだった

キク科タンポポ属

金剛山麓(2012.4.2.)

 セイヨウタンポポが勢力を強める昨今のタンポポ事情にあって、在来種のカンサイタンポポを見つけた時は、100年前の日本の原風景を垣間見たような喜びを覚える。ましてや、シロバナタンポポに出会えた時は、同じ100年前の“九州”にタイムスリップしたような興奮があった。私が住む奈良県南部では、幹線道路沿いや公園など人がよく目にするところ に「セイヨウタンポポ」、車通りの少ない昔ながらの農村地帯では「カンサイタンポポ」、そして普段訪れることの少ないふとした場所で「シロバナタンポポ」という風に、遭遇する頻度が異なってくる。
 シロバナタンポポは大型で背が高く、カンサイタンポポやセイヨウタンポポに比べると、ある程度の背丈がある草地でも競争力がある。また、セイヨウタンポポと同じく「単為生殖」が可能である。
 シロバナタンポポは東日本にも自生するが、中国・九州と西へ行くほど多い。そうした地では、カンサイタンポポはもはや自生せず、タンポポと言えば、黄色ではなく白色のタンポポを画いたと聞く。 しかし、それも今は昔、かの地でも鮮やかな黄色のセイヨウタンポポが隆盛を極める。セイヨウタンポポのみならず、オオイヌノフグリやシロツメグサ、レンゲ(ゲンゲ)などの帰化植物が、春の花を代表するようになってしまったが、九州の子供たちにとって、100年先も200年先も、白 色のタンポポを画くことのできる自然が残ってほしいと願う。

 3〜5月
 本(関東以西)・四・九