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やまとの花手帖
セイヨウタンポポと戦うカンサイタンポポ
キク科タンポポ属
藤原宮跡(2006.3.31.)
今後の発掘調査によって、未曾有の考古学資料出現が期待される藤原宮跡は、現状保存という方針で広大な原っぱが広がる。人口が奈良市に次ぐ県下第二位の橿原市に位置するこの遺跡は、さぞかしセイヨウタンポポの楽園かと思いしや、この宮跡にはカンサイタンポポが群落している。大和三山に囲まれた歴史ある地に、在来種のタンポポが残っているという事実は、ただただうれしい。 ところが、私が住むような農村と新興住宅地が混在する地域では、セイヨウタンポポが圧倒的に幅をきかしている。その理由として、セイヨウタンポポは有性生殖の必要がなく、無融合種子形成によって遺伝的にはクローンタンポポをつくる。そのクローンも、メスとして有性生殖する能力はないが、オスとしては有性生殖できるのだ。こうしてできた種子も、在来種に比べて2分の1程度の重さしかなく、より遠くへ飛ばされやすい。また、地面に落ちるとすぐに発芽する。一方、在来種(カンサイタンポポやカントウタンポポなど)は受粉しないと種子ができない。また、自分自身や近親な花の花粉でも受精できない。 したがって、道路沿いや新しく造成された土地、市街地では、ほぼセイヨウタンポポが優勢種となる。ただ、最近ではセイヨウタンポポと在来種の雑種が増えてきているそうだ。セイヨウタンポポが、在来種の遺伝子を取り込みながらさらにその土地での適応力を身につけようとしているのか、はたまた、在来種がセイヨウタンポポの威を借りながら、その遺伝子を残そうとしているのか。今、仁義なきタンポポ戦争が始まっている。
受粉しないと種子ができないうえ、自分自身や近親な花の花粉では受精できない。種子の数は60〜120個ぐらい。
無融合種子形成と呼ばれる方法で種子ができるため、受粉する必要がなく、例え自分一株でも仲間を増やすことができる。種子の数は200個ぐらいで、重さは在来タンポポの2分の1程度の重さしかないので、遠くへ飛ばされやすい。
種子は地面に落ちてもすぐ発芽せず、休眠する。休眠後、秋になってから発芽するので、夏の間に背の高い草が生い茂る場所でも生き延びていくことができ、そのような場所ではセイヨウタンポポに追い立てられる心配はない。
種子は地面に落ちるとすぐ発芽してしまうため、夏の背の高い草が生い茂る土手や草原では、落ちてすぐ発芽したセイヨウタンポポは、夏の間にそれらの草の下で枯れてしまう。
3〜5月 本(関西地方)