Home

 

やまとの花手帖

 
         
         

イチリンソウ ( 一輪草)

キンポウゲ科イチリンソウ属

金剛山・高畑谷(2014.5.2.)

 イチリンソウ、ニリンソウ、サンリンソウまであるからややこしいが、それぞれ一輪、二輪、三輪と花をつける数がその名前の由来となっている。しかし、必ずしもその名の通りの花の数があるとは限らない。サンリンソウは本州の中部地方以北に分布。また、イチリンソウは一際花が大きいので、一度覚えれば見間違うことはない。この白く大きな花びらも、実は花弁ではなく萼弁である。イチリンソウの仲間は、花弁を持たないのである。
 一方、イチリンソウの仲間は、同じキンポウゲ科のフクジュソウと同じく「スプリング・エフェメラル」である。「スプリング・エフェメラル」と呼ばれる植物は、周りの落葉樹が芽吹く前の早春に、いち早く茎や葉を地上に出して光合成を行い、花を咲かせて受粉してしまう。落葉樹が葉を出し日陰になる初夏には、早地上部が枯れてしまい、地下の根茎だけで後の季節をひっそりと過ごす。まさに「春の妖精(スプリング・エフェメラル)」というわけだ。

 

 他者より先んじて太陽光を獲得する作戦だが、そのため成長にはスピード感が大切。茎も葉も花も省エネで育つため、繊維組織が少ないのか柔らかい。花期が終わってしおれた後は、跡形もなく腐敗してしまう。イチリンソウの仲間が花弁と萼片を掛け持ちさせているのも、同様の理由かもしれない。

 4〜5月
 本・四・九