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やまとの花手帖

 
         
         

ツリフネソウ (釣船草、吊舟草)

ツリフネソウ科ツリフネソウ属

葛城山(2011.10.7.)

 初期の虫媒花は、甲虫などに花粉を食べさせていたが、やがて、花粉に代わるものを作り出すようになった。それが花の蜜だ。しかし、甲虫の体は滑らかで花粉が付きにくく、ポリネータ―としては効率が悪かった。一方、昆虫の方にも、蜜を吸うために進化させた口をもつチョウやハチの仲間が登場してきた。なかでもハナバチ類は、幼虫を蜜と花粉で育てる、極めて花に依存した昆虫である。しかし、花粉を運んでくれる虫が、必ずしも同じ種の花に向かってくれる保証はない。やはり、ポリネータ―としてはまだ効率が悪い。
 そこで、ホタルブクロやツリフネソウ、トリカブトの仲間のように、一対一の独占契約を結んだ花と虫がいる。例えばツリフネソウの仲間の場合、唇状の2枚の花弁(しばしば結合している)が離着陸の足場となり、その奥には筒状に進化した萼片がある。さらに、蜜標をたどっていくと細く渦

トラマルハナバチ
 

を巻いた距があり 、そこに蜜を貯めている。筒状の萼片サイズは、マルハナバチのためのオーダーメイド となっていて、迷路の先の蜜にたどり着くことができるのは、さらに長いストロー状の中舌をもったトラマルハナバチなどに限られるわけだ。このように、どんな昆虫でも難なく蜜を吸うことのできる平たい花の形から、複雑な仕組みをもつ立体形に進化を遂げたが、それはマルハナバチとの共同の進化といえる。

 8〜10月
 北・本・四・九