生石高原のもう一つの特徴は、あちこちで露出している岩石である。これらの白っぽい岩石は、三波川変成帯の結晶片岩類で、「石英片岩」が主体。この結晶片岩は、石英を主とする白い固い結晶片岩だが、砂質岩が偏圧を受け、砂粒の中の石英が再結晶して岩石になっている。この結晶片の巨岩に、「笠石」「火上げ岩」と言った名前が付いている。「笠石」は、弘法大師(空海)が護摩修行を行った場所だとされ、弘法大師がここに置いた笠が見る間に大きくなったことからこの名があるとも伝えられている。この比高9mの巨岩は、和歌山県RDB(2001年)に登録されている。また、「火上げ石」は大火を焚いて雨乞いをした場所とされ、撮影の切り取り方によって絶景に見えることから人気がある。
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生石高原の東端に、生石(しょうせき)神社がある。生石ヶ峰からも徒歩でも行けるが、下ること標高差100m。生石高原を周回する車道を使うこともできる。社殿背後には、ご神体の巨岩がそびえているが、永祚元年(989)に、一夜にして出現した高さ30メートル余りの巨岩に神が降臨し、そこに社殿を建立したとされている。神社西側の社叢は、アカガシを主体とした自然林が良好な状態で保存されており、和歌山県指定天然記念物に指定されている。 |