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                         くりんとのフィールドノート

           
   
 天河神社の御秘神日輪大辨財天

▲参拝に際し授かった神布

 奈良県天川村坪内に鎮座する天河大辨財天神社。『天河伝説殺人事件』(内田康夫原作の小説・同名の角川映画)の舞台としてひと頃有名になったが、この神社には能舞台も設けられ芸能の神様辨財天にあやからんと信仰厚い芸能関係者も多い。また、ワイドショー的にはかつて長渕剛と志保美悦子が挙式をあげた神社としても話題となった。
 私の友人にその坪内生まれの女性がいて、御家は天河神社の氏子でもあるという。その彼女から、60年に1度しか開帳されない秘神辨財天を小学生の時に見て「とてもきれいな人だった」たという話をかつて聞き、「いつか自分も」と20数年あたためてきた。そして、意外にも早くその時が来たのだ。
 この天河大辨財天神社が大改修されたのが、今からちょうど20年前。そして、この度「天河神社御遷宮二十年記念大祭」が催されるに際し、かの話に聞いていた御秘神日輪大辨財天も特別開帳されることになった。期間は平成20年7月16日〜22日まで。

 私が訪れたのは20日日曜日。奈良県民でもさほど知る人の少ないこの神社・この大祭に、どこから聞きつけてきたのだろうか、神社周辺はけっこう賑わいである。そうなると昇殿のための待ち時間なども気になってきたが、参拝料の参千円を納め、袈裟に使う神布を受け取って拝殿まで進むと、ほとんど待ち時間もなく昇殿することができた。
 20年前の御遷宮大祭の時もここを訪れた。「長渕剛のシークレットライブがある」と先の友人から聞きつけ駆けつけたのだが、その数日後にも細野晴臣の奉納演奏を聞きに来た。その細野氏が玉串か何かを捧げる際に階段をのぼる際、不可思議な歩行の所作をしていたのを思い出し、この時それを真似てみた。ようは、右足を1段進めたら、左足も右足にそろえるということの繰り返し。まわりにそんな所作をしている人は見かけなかったが、自分なりの礼儀で最上段に。
 神殿は3つに区切られ、左から順に拝礼していくのだが、まずは大黒天と後醍醐天皇像。そして、真ん中正面に体を進めるとそこには、辨財天と大日如来像、不動明王。まさに、神仏混合の様を呈している。最初、この辨財天が御秘神なのかと凝視していたが、さらに右手に進みそこに鎮座されていた辨財天こそ御秘神であると察す。先の中央の辨財天よりは二まわりほど大きく、きれいに施された彩色が褪せることなく身をまとっておられる。色白でふくよかなお顔の辨財天様を、今度こそ心に残そうと許された時間一心に拝す。

 前回のご開帳が昭和56年(1981年)だったというから、今回の特別開帳が終われば、次は33年後の2041年。その時も、自分の力で昇殿したいものです。

 
 
   

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