昔々、篠原の付近には猪、狼などの猛獣が多く生息して村人たちに多くの害を与えたが、その中に特に大きな狼がいた。この狼から受ける被害はたいへん大きいので、村人たちは退治に出かけたが、狼の姿が見えず終日駆けまわって疲労の極に達した時、突如この狼が現われ、人々の狼狽している時にその指揮者たる村の長を食い殺したので人々の意気は消沈した。しかし、その被害はますます募るばかりであるので、最後の大評定の結果、沢田屋嘉門という者の提唱によって氏神様にお祈りをこめ、村中総出で踊り、神慮を慰め奉って成就を祈願した。この結果、遂にその目的を達し平和な村にかえった。この神慮を慰め奉った時の踊りが実に篠原踊りの始まりであるといわれ、今日まで続いている。
(『大塔村史』より) |