Field Guide
                         くりんとのフィールドノート

           
   
 念仏寺陀々堂の鬼走り

青鬼(母面) 赤鬼 (父面) 茶鬼(子面)

大津の陀々堂へ参らんけえ 狐も狸もおれへんわ
もしかおったらあと戻り わぁーでたでた鬼がでた  (※ この地域のわらべ唄)

 国の重要無形民俗文化財にも指定されている念仏寺陀々堂の鬼走り。毎年、1月14日の修正会結願(五穀豊穣、厄除祈願の念頭行事)として、過去の罪を悔い身に積もった汚れを払い、新しい年の幸福を祈る。この日、一連の行事は以下の通りに執り行われる。
 ○午後1時より、5人の僧による大般若経転読
 ○午後4時より、昼の鬼走り(無点火)/4時半、福餅まき
 ○午後7時より、息災護摩供(堂内)/7時半、柴灯護摩供(境内)
 ○午後9時より、鬼走り(タイマツ点火)
 午後9時からの「鬼走り」が、最大の見せ場クライマックスだが、当寺発行のパンフレットより引用して、以下描写。

 鬼走りの行者たちは、参詣人で埋めつくされた境内の中央を、迎えの小タイマツを先頭にして入堂する。
 やがて鐘の音を合図に、僧たちの早口の読経と、カタン、カタンという硬く乾いた棒打の響き(俗に「阿弥陀さんの肩叩き」と呼ばれ、須弥壇裏の板壁を長さ約1mの樫の棒2本で叩く)、火天役
(かってやく)による「火伏せの行」が始まる。燃えさかるタイマツを肩にした火天は、ゆっくりしたスリ足で参詣人の前に姿を現す。そして、火祭りの安全を願って、中空に向かってタイマツを水の字に振る<※動画 ・前半部分>。火タイマツを天井高く差し上げては闇夜を引き裂かんばかりに振り下ろす火天の姿は、まさに不動明王の化身かとさえ映る。かわせ(水天役)は笹竹で桶から水を振り掛けては、火天が火傷するのを防ぎ、床に落ちた火を消して回る。火天の荒行が終わると、一瞬の静寂が流れ、いよいよ鬼の登場となる。
 ヒバ(ヒノキの生葉)をくすべた煙がもうもうと堂内に立ち込める。須弥壇裏の囲炉裏で発火寸前に暖められた大タイマツに、差配
(さはい)の「一番タイマツ点火」という緊張した声を合図に、行者たちは一斉に活動を始める。間合いを見計らって二番、そして三番タイマツにも火種が移される。
 一番タイマツが佐役
(すけ)の肩に のせられ、右手に斧を持った赤鬼 (父面)と共に正面北の戸口に走り出てくる。狂ったように吼える法螺貝、太鼓、棒打と、強烈な音響を背景に、今まで暗かった堂内が明々と照らし出され、鬼面が浮かび上がる。
 片腕、 片膝でタイマツを受け取った赤鬼は、一瞬、天空に向かって斧を構えて静止し、火の粉を振りまきながら正面中央戸口に歩を進める<※動画 ・後半部分>。後に、青鬼(母面)と二番タイマツが登場する。赤鬼が中央から更に歩を進め、正面南戸口で空をにらむ時、北の戸口には茶鬼(子面)が現れ3つのタイマツが並ぶ。堂内は火の海と化し、焔は生きものとなって天井をなめ、ひさしを這う。火祭りは最高潮に達したのだ。一番タイマツは、再び佐役の肩にのって須弥壇裏を回り右戸口に姿を現す。
 こうして3度、堂内を回った鬼は横戸口から境内に降り立ち、水天井戸に札参りをして行事は終わる。
                                         (※ 念仏寺発行パンフレットより抜粋)

 現在の鬼面は、昭和36年に奉納された桧材一木作りのものを使用しているようだ。その時修復を施し大切に保管されている旧面は桂材一木作り、裏面には、「権大僧都、頼澄別当、文明十八年丙午(1486年)山陰住、右衛次郎」の墨書銘があり、この行事が室町時代より500年以上も続いていると推察できる。ちなみに、そのレプリカが、五條歴史博物館にも展示されている。

 この日、8時半頃に到着するが、陀々堂前にはすでにマスコミやアマチュアカメラマンが多数陣取っていて、「火の粉かぶり席?」にもぐりこむ余地はなし。早くから着て用意周到だから、当然と言えばそうなのかもしれないが、いよいよ鬼が出てくると、今度は脚立に上ってフラッシュをたくものだから、子どもや女性にとっては、杉木立の中状態。6尺身の丈の私がなんとか、毛糸の帽子武装したおじさんたちの頭越しに、鬼たちと向き合う。(私の身の丈も、けっこう迷惑? )
 そこで教訓!写真撮影目的なら、早い時間から行って最前列を場所とるか、少し後方から、三脚をすえ、それなりのカメラ装備(露出、シャッタースピード、ストロボ、レンズ、広角、望遠等)でじっくりねらう。遅くから来て、コンパクトデジカメやスマホでいい写真を撮ろうというのは、虫のいい話。(私の反省)


→画像クリックで、2005年鬼走りの動画(wmvファイル)をみることができます 。

 
 
   

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