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暮らしの中のどんぐりの木

 クリやシイの木のように、食材として広く親しまれてきた木もあるが、一方で、材としても非常に用途が広く、クリの木などは三内丸山遺跡で柱材として使用されていたことが広く知られている。これは、水に接しても非常に腐りにくいという特徴を、すでに縄文人は経験的に知っていたということである。また、カシ材などは、漢字で堅い木「樫」と書くぐらい堅牢で、農具や大工道具の柄として古くから使われきた。外国に目を向けると、ウィスキー樽はホワイト・オーク(北米産・落葉広葉樹)などのナラ材が多く使われており、日本ではサントリーが一部ミズナラ材を使っていてオリエンタルなウィスキーを育んでいるそうである。

   
名栗丸太(クリ)   坪杓子(クリ)   鑿の柄(シラカシ)
   
炭(クヌギ)   シイタケのほだ木(クヌギ)   生け垣(ウバメガシ)
特徴 用途

クリ
○腐りにくく、水湿に非常に強い。
○防腐処理をしなくても土台などに使える。

○枕木
○名栗丸太
○民芸品として、坪杓子(奈良県大塔)や笥(碁石の入れ物)がある。
○三内丸山遺跡(青森県)では直径1mの柱穴が発掘されている。

ミズナラ
○柔らかくて刃物の通りがよく、加工は容易。
○大木に育ち、大径木がとれる。

○家具
○ダイニングテーブル材
○戦前は「オタル(小樽)オーク」「ジャパニーズオーク」と称してヨーロッパに輸出され、高級家具材に使われた。
○サントリーは一部のウィスキー樽で使用している。
○北上山地の方では、このどんぐり粉を「シタミ粉」と言って、大正時代頃までは、一部食していた。

コナラ
○萌芽更新で成長が早い。
コナラは硬くて加工性が悪いので注意が必要
○材質はミズナラよりも硬くて加工がしにくく、乾燥で割れや狂いが出やすいため、北海道では「イシナラ」と呼ばれて区別されている。

○薪炭用
○シイタケのほだ木

クヌギ
○萌芽更新で成長が最も早いく、薪炭材としての代表格である。

○薪炭用
(その木口は菊型に割目が入るので菊炭ともいい、佐倉炭・池田炭などが有名である。)
○シイタケのほだ木
○万葉の時代には「橡(つるばみ)」と呼ばれ、その堅果や殻斗は染料に用いられた。

カシワ
○樹皮からタンニンがよくとれ、もっぱら鞣皮(なめしがわ)や漁網染色に利用される。

○明治から大正期まで、北海道にタンニンエキス工場が建てられた。
○葉は柏餅(最近は中国産が多い。)

ウバメガシ
○重くて堅く、大きく育たない。

○和歌山県産の備長炭が最も有名(堅いので火力が強く、安定した持続性がある。)
○生け垣・公園木
○櫓枕(ろまくら),櫓臍(ろべそ)などすり減っては困る小部品

ブナ
○重くて硬く、粘りがあって弾力性に富む。
○薄くしても使え、曲げやすい。

○フローリング材
○パチンコの裏板(音の反響はブナ材が最良といわれている。)
○曲げ木家具

アカガシ
○重くて堅く、強度が大きいが、加工が困難である。
○赤味がかっている。
○水に強い。

○木刀(高級品)
○大工道具の柄(ノミの柄、鉋台等)
○算盤の枠と玉
○三味線の棹
○農具(鋤・鍬)の柄
○和船の舵・櫂・艪

シラカシ
○アカガシよりやや軽く、粘りが強い。
○アカガシよりも入手しやすい材であるため、普及品はシラカシであることが多い。

○大工道具の柄(鉋台、金槌の柄、木槌の頭と柄、ノミの柄等)
○農具の柄(鉈・斧・鎌等の柄)
○体操の平行棒
○木刀

イチイガシ
○大木に育つため、長尺材が採れる。
○材はアカガシやシラカシよりやや軽く、それほど堅くないので加工しやすい。また、弾力性がある。
○他のカシ類よりも道管が細い溝として材面に目立つ。

○槍の柄(戦国時代に高鍋藩や細川藩では、長槍用に植樹していたという。)
○16尺以上の艫材はイチイガシに限るとされ、そのため「櫓樫(ロガシ)」という名もある。
○体操の平行棒
○農具の柄(鋤・鍬等)

オキナワウラジロガシ
○大木に育つ。
○現在のヤンバルの森(沖縄本島)は2次林であり、大木はほととんど見られない。

○旧首里城の柱