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ムササビ

齧歯目リス科

 

篠原天神社(2004.JUN.) 
 
 
上北山村(2023.OCT.)   篠原天神社(2004.JUN.)


 樹上で滑空飛行を行うが、地上ではリスのようにギャロップ走行となる。地上での活動を嫌うので、なかなか足跡をみつけることはできないが、上画像は塀の屋根に残っていたもので、ここから杉の大木に跳び移ったらしい。
 リーコーダーの 指孔のように、スギの木にあけられた巣穴。
  

 
奈良公園(2006.OCT.)   上北山村(2023.OCT.)


 通称“エビフライ”とはよく名付けたものだ。奈良公園周辺には ニホンリスもいるが、ここはムササビの仕業と判断した。右写真は、クスノキの葉の食み跡と糞。

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  夜行性で、かつ樹上の高いところを生活圏とするため、人の目に触れることは少ない。しかし、里や都市部にもある鎮守の森と呼ばれる鬱蒼とした照葉樹林で、陽がすっかり暮れてしまった後、樹上をしばらく見上げると、グライダーの滑空が目に飛び込んでくる。あるいは、昼間なら奈良公園などで大きなマツの木の下に目をやると、ムササビが食べたあとの松ぼっくりがエビフライ状になっていくつも落ちている。深山や雑木林に入らなくとも、意外に身近な動物である。

  ムササビは日本の固有種で、長い前足と後足との間の飛膜で、木から木へとグライダーのように滑空する。樹上生活に徹するムササビは、決して地上で食べ物を探さない。したがって、落ちたどんぐりは食べない。滑空に特化した進化は、地上での行動を著しく鈍らせるのだろうか。天敵を避けるためにも、樹上空間こそ彼らの楽園なのである。鎮守の森などでもよく見られるが、人家の屋根裏などにもよく巣を作る。
 同じく滑空する哺乳類にモモンガがいる。両者の相違点は、ムササビの頭胴長27〜48cmに対して、モモンガは頭胴長14〜20cmと小さい。また、クリッと大きな目は、モモンガのトレードマークである。ムササビは都市部周辺にも多いのに対して、モモンガはより寒冷地の気候に適応しているためか、その生息地は標高が上がる傾向にある。
  ムササビはリスの仲間だが、リス類は昆虫も食べるのに対して、ほぼ完全な植物食である。春はマツの尾花、サクラの花、カシ類の若芽、夏は松ぼっくり、秋はドングリや柿の実、カエデ類のなどの果実、冬は冬芽やスギの雄花などである。
 メスは約1haの縄張りをもつが、オスは縄張りをもたず自由に行動する。交尾期は11月下旬〜1月中旬と5月中旬〜6月中旬の年2回。
 本・四・九