天辻峠でうどん屋を営む私の知人宅には、冬場、テンがよく現れゴミ箱を漁るらしい。住民にとってはそのいたずらに困っているが、自然の豊かさの表れでもあると
、部外者の私はのん気に写真を撮らせてもらった。積雪後につけた彼らの足跡は非常に特徴的で、足裏の肉球と爪の跡ががくっきり現れる。先の御用となったテンの足裏を覗くと、細い枝なら鷲掴みにして木登りも器用にこなしそうな
指先である。
テンには「テンの高糞(たかぐそ)」や「イタチなき間のテン誇り」という言葉がある。テンの残した糞は、岩の上や登山道のよく目立つところに見られ、その習性の一端をとらえているが、大柄なテンが、普段はイタチに道をあけているのかどうか
、こちらはよく分からない。(笑)
本州におけるイタチの仲間は、ホンドオコジョ、テン、そしてイタチの3種。ホンドオコジョは、中部以北の山岳地帯に生息し、頭胴長♂18〜20cmと最も小さい。テンの場合、頭胴長♂45〜48cmと最も大きく、美しく豊かな黄金色の冬毛に出会えば見間違うことはないだろう。
通常は単独行動で夜行性、木登りは得意で木の洞などにも巣を作る。したがって、ムササビにとっては肉食性のテンが最大の天敵となるが、テンの糞には植物の種も多く見られ果実も大好物のようだ。
年1回、7〜8月に交尾し、ほぼ8ヵ月後の4〜5月に、1〜4頭の子を樹洞など比較的簡単な巣の中で出産する。
北(人為的な移入か)・本・四・九 |