ニホンイタチ
食肉目イタチ科
前・後足とも5本の指跡がつき、それぞれの先端には爪跡も残る。前後とも大きさはほぼ等しく、長さ2〜3cm。ただ、雄雌間に極端な体重差があるため、雌のものは小さい。雪の上では、左右の足をそろえて飛び跳ねるギャロップ走法がみられる。
テンの糞に似ているが、より細長く、黒色のものが多い。イタチは水辺に棲んでいることが多く、泳ぎも得意なので、魚の骨片や鱗、カニやザリガニの甲殻が混じっていることもある。イタチの仲間の糞はサインポストの意味があり、大きな岩や切り株の上など、開けた場所でよく目立つところに残している。
オスの体重は400〜500g、頭胴長30〜35cm、尾長12cm。ただし、雌雄の体格差は、セイウチなどの海獣を除けば哺乳類中最大で、メスはオスの3〜4割程度である。加えて珍獣と呼ばれる所以がもう一つあり、メスになかなか遭遇できないのだ。毛皮は比較的良質で、かつてジャパニーズ・ミンクという名で、戦後しばらくアメリカなどに輸出されたそうだが、捕獲された個体数のうち、メスは1割に満たないそうだ。こうしたことからも、イタチの研究は意外に進んでいないらしい。 近年、西日本を中心にチョウセンイタチ(シベリアイタチ、タイリクイタチ)が分布を広げている。在来種であるニホンイタチと比べて体が一回り大きく、移入した場所ではチョウセンイタチが優勢種となっている。ニホンイチタとチョウセンイタチの外見上の違いは、頭胴長と尾長の比(=尾率)で、ニホンイタチ約40%、チョウセンイタチ50%以上と言われているが、厳密には遺伝子レベルでないと見分けがつかない。奈良県でも、北部ではすでにニホンイタチは絶滅したのではないかという学者もおり、このページの痕跡もニホンイタチのものかどうか断言できない。 イタチは本来、小川や田んぼなど里山の水辺に棲む動物で、これまでは、深山に棲むテンとは棲み分けられていた。主食はネズミ、カエル、昆虫などで、小鳥や魚、果実なども捕食する。 繁殖期以外は単独で生活し、巣は、川辺では石積みの隙間や時には排水溝なども利用、里山では穴や樹洞など用いる。4月頃交尾し、妊娠期間は約37日間。 肛門付近に一対の肛門腺があり、危険時に悪臭を放つ分泌物を出すが、これが「イタチの最後っ屁」の語源である。あと、以下のような慣用句もあって、人とイタチの親近感を感じるが、科学的な根拠はないらしい。 「いたちごっこ 」 堂々めぐりで物事が全くはかどらないこと。 「かまいたち」 何もしていないのに突然、皮膚上に鎌で切りつけたような傷ができる現象のこと。 「イタチの道」 イタチは同じ通路を二度と使わないといわれ、一度しかこないことをいう。 北(人為的な移入)・本・四・九