不器用で寡黙、真摯な生き方をスクリーン上で演じてきた高倉健を称して、倉本聡は「絶滅危惧種だ」と言ったとか。小田剛一に戻った時の健さんが、果たして絶滅危惧種のような稀有な大和男子だったかどうかは別として、高倉健としては、ある時から意図的にそういう役柄を選びイメージを大切にしてきたように思う。
そんな健さんが、コーヒー好きであったことはよく知られているが、ファッションでいうとバラクータ製G9モデルのスウィングトップを愛用していた。バラクータは、1937年創業のイギリスのレインウェアブランドで、外国の映画俳優にもファンは多く、『華麗なる賭け』のスティーブ・マックィーンも有名である。健さんは、色違いのものを何着ももっていて、遺作となった『あなたへ』や『居酒屋兆治』の劇中にも、このウェアを着て登場している。『居酒屋兆治』では、タンとマリーンブルーの2色のG9を着分けているが、地方の居酒屋の親父という設定で、G9をカッコよく着こなしているというのも少々不自然な気がしたが。(笑) |