大台ヶ原の哺乳類図鑑
大台ヶ原に生息する哺乳類を確認するために、環境省大台ヶ原自然再生推進計画評価委員会の添付資料「哺乳類の確認種」というpdfファイルをWeb上から入手した。そのデータから、1980年以降の 研究者や公的機関による報告書や文献で、大台ヶ原の生息動物として記載されているもの 以下の表に抽出してみた。さらに、その資料によると、2003-2004年にかけて現地での生態調査も行われたようで、その2年間に確認されたもの(捕獲・死体・写真・糞・目撃等)を太字で区別した。意外なことに、ニホンカモシカは、1980年以降の文献には現れず、後の2年間の調査でも確認されていない。もはや、東大台・西大台には生息していないのだろうか。 大台ヶ原パークボランティアの会自然調査研究グループでは、所定の手続きを経て、2014年から2019年まで、正木峠・正木ヶ原間のぬた場にセンサーカメラを設置し定点観察を行ってきた。また、2020年からは、大蛇ー付近に観察場所を移し、同様の定点観察を行っている。ミヤコザサを中心とした草原のぬた場と、ブナなどの落葉広葉樹が多く岩礁もある大蛇ー付近では、自ずと生息する哺乳類も異なるのではないかというのが調査目的で、もしニホンカモシカが生息しているとすれば、可能性の高いのが大蛇ーの岩礁地帯だろうと想定した。 このページの画像は、そうした調査によって得たものを中心に掲載した。 現時点では(2021年)、ぬた場に圧倒的に多かったニホンジカの姿は、大蛇ーではすっかり減り、代わってニホンザルがかなりの頻度で出没している ことが分かる。
モモジロコウモリ、ヒメホオヒゲコウモリ、モリアブラコウモリ、ヤマコウモリ ヒナコウモリ、テングコウモリ、コテングコウモリ
環境省大台ヶ原自然再生推進計画評価委員会の添付資料「哺乳類の確認種」より抜粋
★正木峠・正木ヶ原間のぬた場センサーカメラ撮影 ★大蛇ー付近のセンサーカメラ撮影 ★その他
@ツキノワグマ(クマ科) Aドライブウェイ(2011.11.10.)★ Bドライブウェイによくしゅつぼつする。私もNo.96で2018年に目撃。(画像提供:Yukihiro Ishimaru)
@ツキノワグマ(クマ科) A大蛇ー(2021.11.6.)★ B東大台でも登山客による目撃談が毎年のようにビジターセンターに届く。
@キツネ(イヌ科) Aドライブウェイ(2021.11.20.)★ B駐車場にも日が暮れると出没するようで、人に慣れ、よく太っている。絶対に餌付けをしないように。
@キツネ(イヌ科) A正木峠ぬた場(2017.1.28.)★ B正木峠の木道にも、キツネの糞をよく見かける。ネズミを求め雪山を彷徨う姿こそ野生の証である。
@テン(イタチ科) A正木峠ぬた場(2018.2.18.)★ Bテンの足跡は、積雪の上に爪痕までしっかり残すので分かりやすい。
@テン(イタチ科) Aドライヴウェイ(2014.6.1.)★ Bイタチによく似るが、テンは首まわりの毛色が黄色や白色なのですぐ分かる。
@ニホンザル(オナガザル科) A大蛇ー(2016.8.10.)★ B300mmの望遠レンズで捕らえることができた。横顔が哲学的に見える。
@ニホンザル(オナガザル科) A大蛇ー(2021.8.9.)★ B大蛇ーのセンサーカメラには、かなりの頻度でニホンザルが写っている。ある集団の縄張りであろう。
@イノシシ(イノシシ科) A大蛇ー(2021.7.3.)★ B豪雪地域では、本来、足の短いイノシシは見かけないと聞くが、大台も雪が少なくなってきた証だろうか。
@イノシシ(イノシシ科) A正木峠ぬた場(2015.7.30.)★ Bあばら骨が浮いて見えるのは、食料に乏しくやせ細っているからだろうか。ここにはミヤコザサしかない。
@ニホンジカ(シカ科) A牛石ヶ原(2011.8.14.)★ B奈良公園のニホンジカより、餌の豊富な大台の鹿は、毛並みも良く健康的である?
@ニホンジカ(シカ科) A正木峠ぬた場(2014.9.29.)★ B交尾期になると、牡鹿は、首回りが太くなりたてがみも現れて、どう猛な雰囲気を醸し出す。
@アナグマ(イタチ科) A大蛇ー(2021.8.23.)★ B全く同じ地点で、別の日にも撮影されていた。彼が日常的に活動する獣道かもしれない。
@モモンガ(リス科) A大蛇ー(2023.11.4.)★ B大台ヶ原では、標高1000m付近でムササビと棲み分けているのではないかと聞く。