Guitar Case 111

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クラフトワークとYMO

 クラフトワーク(ドイツの電子音楽グループ)創始者のひとり、フローリアン・シュナイダーの死去に際して、2020年7月3日付朝日新聞(朝刊)で、細野晴臣氏の寄稿が掲載された。「クラフトワークがいなかったらYMOの音楽は異なるものになっていた」という。
 1970年代末、コンピュータで音楽を作ることに興味があった細野氏は、クラフトワークの『アウトバーン』というアルバムを紹介され、ポップ・ミュージックの新しい可能性に出会う。そして、『The Man Machine』では完全に打ちのめされたと言うのだ。というのも、当初「R&Bやブルースなどのリズムにおけるグルーブ感の揺れとコンピュータの均一性に違和感を覚えていた」そうだが、クラフトワークはいたって単純なリズムでいろいろな束縛から解放され、電子的なブギウギを創り出していたと述懐している。
 当時はまだテクノ・ミュージックというジャンルはなく、クラフトワーク(ドイツ)とジョルジオ・モロダー(イタリア)、そしてYMO(日本)が目立っていただけだったらしい。三者とも、ビートをシーケンサーという電子制御によって作っていたが、YMOだけが、コンピュータに数値を入力して音楽を作る作業をし、その結果、複雑なリズムやサウンドを創り出すことができたそうだ。

 YMOの全盛期は、私の学生時代と重なり、テクノカットを真似た若者の一人である。当時は、ファッションとしてSONYのウォークマンと共に彼らの音楽を愛聴していた。しかし、最近再び、『YELLOW MAGIC ORCHESTRA』(1978年)や『SOLID STATE SURVIVOR』(1979年)のアルバムを購入して聴いているのだが、細野氏のいう「コンピュータの均一性の中に見いだしたグルーブ感」が不思議と心地よいのである。
 この記事を機に、クラフトワークのアルバム『The Man Machine』を購入し、YMOのアルバムと共に聴いている。細野氏の言葉を借りると「牧歌的な陽気さ」が心地よく、素朴であたたかなヴォーカルが好きである。実は、このCDを手にして気づいたことがある。YMOといえば、ワールド・ツアーで着用していた真っ赤な人民服風のコスチュームが印象的であるが、『The Man Machine』のアルバム・ジャケットにも、真っ赤なそろえのシャツを着た4人のクラフトワーク・メンバーが写っている。しかも、4人ともテクノカットだ。なるほど、YMOのメンバーのクラフトワークに対するリスペクトだったのかと、私は直感した。

 
The Man Machine   SOLID STATE SURVIVOR

by くりんと