五條映像フェスタ2014が、9月6日五條市民会館で開催されました。
400人余り収容のホールに立ち見が出るほどの盛況で、河瀬直美監督が来場されるというのもその理由の1つでしょうか。
五條市主催(観光戦略課)としては、クリーンヒットです。
というのも、このイベントではチャン・ゴンジェ監督の「ひと夏のファンタジア」という作品が世界中のどこよりも早く初公開されました。
本来、9月12日から始まるなら国際映画祭2014で発表される作品なのですが、まるまる五條でロケされた映画ということで初公開になったようです。
河瀬直美監督は、この映画にではプロデューサーとして関わり、この日の舞台挨拶と相成ったわけです。
「ひと夏のファンタジア」という映画は、世界の新進気鋭若手映画監督に映画制作のチャンスを提供する「NARAtive(ナラティブ)」というプロジェクトから生まれたもので、河瀬監督との縁もあってかそのロケ地に“五條”が選ばれたようです。
この映画には、有名な俳優が名前を連ねているわけではなく、著名な文学作品を映画化したわけでもない、いわゆる芸術作品の範疇に入るものです。
私なりの解釈で説明すれば、五條という町を以下のようにとらえこの物語の交差点としています。
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五條市は、都会志向や仕事を求めてふるさとを離れる若者の多い町でもあり、それでも留まった者なかにはIターン・Uターンで戻ってきた者の混在するところである。
一方、同じ五條市内の旧大塔村篠原地区という山村を振り返れば、10世帯ほどの高齢者がひっそりと暮らしているいわゆる限界集落が存在する。
そこにもまたかつて、村を離れる者留まる者の分岐点があり、留まった者はそれも運命と受け入れ山村でのルーティーンを全うしようとしている。
どちらが勝ち組でも成功者でもなく、それぞれの暮らしに真摯に向かい合う生き様に、やがて大きな花火があがるのではないだろうか。
ちなみに篠原地区は、江戸時代で花火師鍵屋として大成する弥兵衛の故郷だったと伝わる。
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新町や吉野川をはじめ、市内の飲食店や地元住民の出演など、市民にとっては見所も多く、以上のようなテーマも相まみえて、いい映画でした。
この映画にちなんだ河瀬監督のトークもしっかりと花を添えました。
「ひと夏のファンタジア」は、9月14日(日)15:15〜奈良女子大・講堂(なら国際映画祭2014・1回券1000円)で観賞できます。
http://nara-iff.jp/2014/niff2014/program/narative-2014.html
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