今夏公開された宮崎駿監督の新作『崖の上のポニョ』の主題歌は、映画を見ていない人でも口ずさめるのではないだろうか。この曲を歌うのは、児童劇団所属の大橋のぞみ(8)と「藤岡藤巻」の特別ユニット。「藤岡藤巻」とは、藤岡孝章(55)と藤巻直哉(55)の男性デュオだ。
この曲はもともとは大橋のぞみが一人で歌う予定で、そのデモテープを聴いた宮崎監督が「お父さんと娘がお風呂で一緒に歌っているようにしたい」と思いつき、藤巻直哉が仕事で仮歌を
入れてみたと言う。藤巻は、博報堂(のちに博報堂DYメディアパートナーズ)の社員で、業務で映画制作に携わることが多く、スタジオジブリの各作品にもクレジットされている。ちなみに、『もののけ姫』では声優としても活躍している。(セリフはサンが跳ぶシーンで「跳んだ」と5人ぐらいで言うところと、侍の役で「くそう、浅野のなんとか……」というところ。/藤岡藤巻公式HPより) あくまでも仮ということだったらしいが、宮崎監督と鈴木敏夫プロデューサーが「このままでいいんじゃないか。上手くないからいいんだ。」と言い出した。聴いた人が自分でも口ずさみたいと思う
宮崎のイメージに、藤巻の歌はちょうどいい下手さだったということだろうか。
こうして突然の大ブレイクとなった中年男性の二人。
藤岡孝章の方は、ソニー・ミュージックエンタテインメントでディレクター、プロデューサーとして活躍し、シブがき隊、加藤和彦、宍戸留美他、40組以上のアーテストを手がけた後、現在はF2エンタティンメントを立ち上げているというから、こちらもただ者ではない。しかし、この「藤岡藤巻」という
二人組は、この企画のために結成されたデュオではなく、その活動歴からけっこう年季の入っているグループであることがわかる。
まず彼らの学生時代に、尾崎純也氏を加えた3人で「まりちゃんズ」というバンドを結成、とあるフォークコンテストでスカウトを受け、1974年に『ブスにもブスの生き方がある』という衝撃的な歌でデビューしている。その後、
グループは活動休止となり、それぞれ先述の会社に就職するのだが、2003年「藤岡君と藤巻君」として活動開始。翌年、「藤岡藤巻」に改名し、2006年SME
Recordsから『よろけた拍子に立ち上がれ!』で再びメジャー復帰する。
「藤岡藤巻」が提唱する”おやじエンタティンメント”。「酒場で繰り返した上司の愚痴だって、ラップにの |