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奈良県内におけるブナ科の植生

● 奈良県の植生分布



(葛城山)

 私の場合、どんぐりの収穫は、その自生地に赴くことを基本としています。植物園や公園などに行けば、簡単に何種類ものどんぐりを集めることができ ますが、その樹種本来が好む地形や土壌、気候、標高などをこの目で確かめることを含めて、「どんぐりを拾う」と理解し ています。その視点に立てば、22種のどんぐりは私の手元にあるものの、ハナガガシ などのように本来の自生地で出会えていないものもあります。
 以下の図は、縦軸に標高、横軸には土壌の乾燥度をとりながら「奈良県の植生」を表したものです。 照葉樹林帯である奈良の地に、原生林として見られるはずの植生です。赤字や青字でブナ科の樹種を示しましたが、 青字は出典資料にくりんとが付け加えたものです。

【参照】 奈良県史第2巻/1990より (※ 青字の植物名および山岳名はくりんと加筆)

● 奈良県で見られるどんぐりの木
地域 樹種 環境

奈良県に自生するもの

コナラ、クヌギクリ、アベマキ

薪炭用に利用してきたため、現在、里山などに多く自生している。

ナラガシワ(吉野川沿い)
ウバメガシ(熊野川沿い)
シリブカガシ(知足院)

県内でも、地域が限定的である。

アラカシ、シラカシ、イチイガシ
ツクバネガシ、ツブラジイ

この地域の極相林である照葉樹林の主構成樹で、現在は、神社の社叢林や保護された森林でよく見られる。

ウラジロガシ、アカガシ やや標高の高い山地に見られる。
ミズナラ、ブナ、イヌブナ 標高800〜1000m付近の山地に見られる。

元来、奈良県には自生しないもの

マテバシイ

公園や街路樹などに植栽されている。

カシワ、スダジイ 元来、自生地が県外である。

オキナワウラジロガシ(沖縄県、奄美諸島)
ハナガガシ(四国・九州)

他県で地域限定的に自生する。

※ この表は、過去120年以内に人為的に植栽されたものと、それ以前から県内に自生しているものを基準としています。例えば、橿原神宮付近の森には、明治初期に全国から寄進された大木が混生しています。