アトリ科の野鳥の名前には、その音だけで漢字や意味をあてはめにくいものが多いような気がする。「ウソ(鷽)」「シメ(旨鳥)」「ヒワ(鶸)」、そしてこの「マシコ(猿子)」。オオマシコの場合、雌も全体的に赤みを帯びて美しいが、雄はさらに、春日大社に伝わる赤糸威大鎧をまとったような鮮やかな猩猩緋をしており、猿子(ますこ)という名はニホンザルの赤ら顔から付けたのだろうか。
金剛山ちはや園地内の休憩所付近では、餌付けされた野鳥が間近で観察することができるが、積雪期にはヤマガラやヒガラに混じってオオマシコも訪れている。アトリ科特有の太い嘴で手すりに置かれた粟など突いているが、地面におりて餌を探すのも得意なようで、落ちた餌も探している。したがって、上写真の種明かしをすれば、人見知りしなくなったオオマシコを200mm程度のズームレンズで撮影したものである。こんな調子で出くわした野鳥だが、実のところ、観察難易度の高い鳥であることを知って驚いた。
類似種のベニマシコは小さくて尾が長く、翼には明瞭な白い2本線がある。
冬鳥として九州以北に渡来する。 |