紀伊山地の林道を車で走っていると、その音に驚いたか道路脇のヤブからハト大の鳥が突然現れる。ギィーッと大きな奇声を発するのだが、その場合、たいがいカケスだ。しかし、黒っぽいカケスとは異なり、ウグイス色の飛行体が車の前を先導するかのように林道をぬって滑空していく場合もある。目の前を矢のような速さで横切るため、すぐには何の鳥か見分けがつかない。着陸したはずのミズナラの樹幹にフィールドスコープを向けると、ウグイス色の翼に赤い帽子をかぶったアオゲラが、隠れんぼでもするかのように身じろぎもせず静止していた。
さえずりは、「ピュ〜、ピュ〜」と笛を吹いたような鳴き声で、キツツキの仲間においては特徴がある。近似種のヤマゲラは、北海道以北から大陸にかけて生息するのに対し、アオゲラは日本特産である。
体の上面は黄緑色で、類似種のヤマゲラに比べて、アオゲラは腹部に黒色横斑が見られる。また、雌は後頭部のみ赤い。
本州〜屋久島の低山のよく茂った林に留鳥としてすむ。 |