Field Guide
                         くりんとのフィールドノート

           
   
 シェイクスピア氷瀑群

リア王(中央)

ハムレット(左)とリア王(中央)、そしてマクベス(右氷柱)

 「シェイクスピア劇場を見に行かないか」と誘われた。10年位前から、アイスクライマーたちが通いだした氷瀑群のことで、吉野川の上流地獄谷にあると言う。氷結する滝としては、井光川にある「御船の滝」が有名だが、そこではなく地元川上村の人たちもほとんど知らない所らしい。
 大台ケ原ドライブウェイ入口付近に車を止め、登山準備。事前に、スパッツと10〜12本爪のアイゼンが必携だと伝えられていた。8時ちょうどに出発、カワガラスが2羽先導してくれる。すでに先客がいたようで、ラッセルの必要がなく迷わないだろうと、わがリーダーは安堵していた。さすが吉野杉で名高い川上村、途中の人工林も手入れが行き届いている。(川上村在住のメンバーによれば、これでも手入れが足りないとか。)やがて、人工林を向けるとサワグルミなど落葉広葉樹の林となり傾斜もきつくなる。もはやアイゼンの前爪なしでは歩数がはかどらない。途中、左手にも小さな氷柱群が見られる。10時30分、息を切らしながら前方を見上げると、ついに氷瀑群をとらえることができた。GPSは標高1260mを示す。青く輝やいた無数の氷柱が、私たちの到着を待っていたかのように幕を開ける。

 さて、このシェイクスピア氷瀑群には、4大悲劇のうち「マクベス」「リア王」「ハムレット」の3つの名前が、さらに当てはめられている。恥ずかしながら、シェイクスピアの4大悲劇をきちんと読んだことがなく、またそれらの舞台も見たこともない私にとって、それらの名の意味が解けない。ただ、眼の前にすごい迫力でせまってくる魔王のような氷瀑は、オペラ歌劇を観ているような感動がある。春になってこれらの氷柱の溶け るのが先か、それとも私がネーミングの解をすっきりと読み解くのが先か。

 
急傾斜の道なき道をゆき、やっと見えてきた  
 
小普賢方向には別の氷瀑も見える   マクベス全景
 
 
   

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