Field Guide
                         くりんとのフィールドノート

           
   
 神野山(こうのやま)と鍋倉渓(なべくらけい)

鍋倉渓

神野山山頂(618.8m)より

天狗岩

 大和高原は一般に花崗岩質よりなっているが、神野山は角閃斑れい岩よりなり、この岩質が花崗岩より堅いので次第に準平原化する際、侵蝕に堪えてこの山が残丘として高く残ったと考えられている。山頂には王塚と呼ばれる墳丘があり、古墳か古代祭祀跡ではないかと考えられているが、5月には山つつじが咲きほこり、この時期には山麓の村々から「神野山登り」といって、農作業を休んで登山する風習が残っているそうだ。私は4月29日に訪れたが、この時も「神野山つつじ祭り」というたくさんのノボリに迎えられた。新緑の芳しい中、地面を見わたせばスミレの群生にたびたび出会う。タチツボスミレ、スミレ、アリアケスミレ、ニョイスミレと計4種のスミレを見つけることができた。

 さて、この県立自然公園神野山のハイライトは「鍋倉渓」。長さ650m平均幅25mにわたって、大小の黒々とした岩石が累々と重なり合い、まるで火山の溶岩の流れを思わせる奇勝である。それゆえ、伊賀の天狗と神野山の天狗がけんかをして投げ合った岩だという伝説が残っていたり、神野山の巨石は星座(夏の大三角形)を地上に映したのではないかと考えられ、この鍋倉渓も「天の川」を表しているという見立てもある。この鍋倉渓の無数の岩石も角閃斑れい岩であり、先の侵蝕の話をあてはめるのが妥当なのかもしれない。

 この公園内には「森林科学館」という建物があり、興味津々に訪れてみた。かつて、何かしらの公的補助金によって建てられたものだろうと推察されるが、その後の 館内の更新もなく、朽ちていくいっぽうの展示物を前に、早々に館を後にした。

アケボノスミレ タチツボスミレ もちろんタンポポは「カンサイタンポポ」

大和高原は大和茶の産地

 
 
   

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