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サディスティック・ミカ・バンド 『NARKISSOS』

 NHK-BSハイビジョン特集「早過ぎたひと 世紀の伊達男 加藤和彦」(2011年10月15日放送)をみた。彼の追悼番組だが、なかでも、安井かずみとの結婚生活は興味深かった。彼女に一流のファッションや料理、ホテルやサービスといった環境と財力を惜しみなく提供する中で、彼女の口から紡ぎだされる言葉や詞を彼が作品に仕上げた。まるで、一流の環境からしか一流の作品は生まれてこない、とも言いたげなようなスタンスだが、加藤が言うと嫌味でない。彼の天才的な才能を認めた上で、そうした才能もある種財力によって開花を促進するのかなと悟る。
 実はこの番組で、私が一番食いついたのは彼が率いる「サディスティック・ミカ・バンド」の存在。ファーストアルバムがイギリスの音楽プロデューサー、クリス・トーマスの耳にとまり、1974年セカンドアルバム『黒船』を発表した。このアルバムは日本のロック史上名盤との誉れ高く、全英ツアー成功している。その後、ゲストヴォーカルを迎えて3度の再結成を行っ た。(以下の表参照)

バンド名 Gui Drums Vo Gui Bass Album
1972 Sadistic Mika Band 加藤和彦 角田ひろ 加藤ミカ      
1973 高橋幸宏 高中正義 小原礼 「サディスティック・
ミカ・バンド」(1973)
「黒船」(1974)
  後藤次利  「HOT! MENU」
(1975)
1975 解散
1985 Sadistic Yuming Band 松任谷
由美
※坂本龍一も参加
1989 Sadistic Mica Band 桐島
かれん
小原礼 「天晴」
2006 Sadistic Mikaela Band 木村
カエラ
小原礼 「NARKISSOS」

 「この機会にサディスティック・ミカ・バンドのアルバムを聞いてみよう」と、手に入れたCDが、木村カエラをヴォーカルに迎えた『NARKISSOS』。初回限定盤には、「Big-Bang,Bang」「タイムマシンにおねがい」の2曲とインタビューが収録されたDVD付いてい る。加藤の言葉によれば、「どの年代の方にも満足していただけるノリ(Grooving)に仕上がっている」ということだが、このアルバムの代表曲でもある先の2曲には衝撃受けた。特に、「タイムマシンにおねがい」は、初代ミカ・バンドの演奏で知る方も多いだろうが、これまでの3人のヴォカリストの中でカエラが一番うまいと、これも加藤が言っていた。私は、この2曲ですっかりカエラのファンになってしまった。DVDの映像では、彼女の歌いっぷりやステージ上でのはじけっぷりも見ることができる。
 あと、個人的には高橋幸宏のファンで、彼のドラムがアルバムの全曲にわたって参加しているので、そのプレイを聞けるだけでもうれしいが、ヴォーカリストとしての魅力も2曲で披露されている。もはや5年も前の作品で、今頃になって興奮する私は時代遅れかもしれないが、5年のタイム・ラグで加藤の作品にやっとたどりついたのであれば、まだよしとしよう。

by くりんと