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山本潤子『SONGS』

近年、実力派のヴォーカリストがカヴァーアルバムを出し、話題を呼んでいる。
平原綾香『From To』はこのページでも紹介したが、徳永英明の『VOCALIST』や槇原敬之の『Listen To The Music2』、山下久美子の『Duets』などがよく知られている。
そんな流れに乗ってかどうか、山本潤子が2007年6月6日発売
した『SONGS』をリリースした。
たまたまラジオから流れてきた、このアルバムの中の「サンキュ.」に耳が止まり、「空と君のあいだに」で買おうと衝動が走った。

山本潤子は、後に結婚する山本俊彦らと1969年フォークグループ「赤い鳥」を結成、「竹田の子守歌」や「翼を下さい」が大ヒットする。
1974年に解散した後は、旧メンバー3人と「ハイ・ファイ・セット」を結成、「フィーリングス」や「卒業写真」が代表曲となっている。
1992年の活動休止後は、ソロやユニットで活動を続けており、透明感のあるその歌声は、小田和正をして「稀代のボーカリスト」と呼ばしめている。
私的には、NHK-BSの番組で見た伊勢正三・鈴木康博とのユニット・コンサートが、ソロ後の真正面からの出会いで、そのハーモニーの美しさに、気になるミュージシャンの一人となった。

 1.サンキュ.
 2.CROSS ROAD
 3.恋の予感
 4.Missing
 5.ロビンソン
 6.桜坂
 7.空と君のあいだに
 8.最後の言い訳
 9.世界にひとつだけの花
10.一本桜 〜心根〜
11.翼をください
12.一本桜 ヴォカリーズ ヴァージョン


さて、このカヴァー・アルバムだが、先にも書いたとおり「空と君のあいだ」がイチオシである。
中島みゆきのヴォーカルが書道でいう「草書」なら、彼女の場合は「楷書」。
中島の良いも悪いもその毒気を、山本のヴォーカルですっかり浄化し、曲そのもののもつメロディの美しさと詞の豊かさが、ミネラルウォーターを飲むような喉越しのよさですんなりと入ってくる。
このように、「この曲って、こんなによかったんだ」と再認識した曲が多い。
「翼を下さい」が音楽の教科書に採用されたとひと頃話題を呼んだが、山本のヴォーカルはその教科書のような丁寧さと確かさで、聴く側に警戒心を与えずリラックスさせてくれる。

このアルバムを手に取り最初に気づいたのだが、先の平原綾香『From To』の中に収録されている曲と、「Missing」「桜坂」「翼を下さい」の3曲が重なっている。
平原の「行書」と山本の「楷書」、今一度味わい比べてみたし。


by くりんと