Guitar Case 54

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発露の間

   

現在、吉野山金峯山寺では、ユネスコ世界遺産の登録を記念して、 蔵王堂の秘仏金剛蔵王大権現を公開している。(平成16年7月1日〜平成17年6月30日)
その蔵王大権現の御前で、それぞれの心の内を打ち明け、懺悔するための 『発露の間』 が設けられている。
通常、内陣は、得度し僧籍を持つもの以外の入堂は許されていないが、このたびは、ここで心静かに対座し、ご本尊の『恕の心』ですべてを許されるというわけだ。

さて、この蔵王大権現 の御前での懺悔は、この機会を逃すと、今後のご開帳は未定と聞くから(約60年に一度の檜皮葺き替え時にのみ一般公開される)、日常的にできるものではない。
しかし、私たちはそれぞれ、個々の 『発露の間』 を、経験的に見つけているのではないだろうか。
それは、とっておきの場所であるかもしれないし、トイレの中かもしれない。
また、この人の御前ならということでもいい。
(ちなみに、CD『六根清浄』の中の♪蔵王権現は、そういったことを題材にした曲である。)

私の 『発露の間』の1つである、天河大辨財天社(吉野郡天川村)。
ここにも、60年に一度しか御開帳しないという弁財天が納めらている。
芸能の神様でもあるこの弁財天の社にむかって、総檜造りの能舞台が設けられており、各界からの参拝者も多いと聞く。
私の友だちの家が、この神社の氏子 で、その筋の情報によると、長渕剛が志穂美悦子を通じて、この神社をよく参拝し、二人の結婚式もここで挙げ、確か子供の命名もここで行ったとか。
また、ひところ、 この神社の杜から、歌声が聞こえてくるなと思ったら、長渕が弁才天の社に向かって、一人弾き語りをして歌を奉納していたという話も、十数年前に聞いた。
当時、この神社の大掛かりな改築があって、盛大な落成のセレモニーが執り行われたときも、長渕はヘリコプターでやってきて(氏子ぐらいにしか知らされていなかった)、何曲か奉納していたの を、私も見た。
まさに、(当時の?)彼にとっても 、この神社は『発露の間』だったのかもしれない。

先日、私は、大峰山系を目の前に望むことのできる、もう一つの 『発露の間』に出かけてきた。
3月と4月は、別れと出会いの季節でもあるが、ここにキャンプ用のテーブルと椅子を置き、半日ゆったりと過ごしながら、この数年を振り返るつもりであった。
弁財天の御前で奉納するには、未だ芸も整っていないが、この日は、山や雲、木々や野鳥を聴衆に、やがてギターを持ち込んで歌ってみた。
それが、とても気持ちよく、たった一人なのに、妙にテンションがあがり、涙管がゆるむ。
こんなステージもあったんだ!
この日見つけた、私の新しい発露のスタイル。

by くりんと