Guitar Case 46

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LET IT BE... NAKED

1969年ごろ、ビートルズは、ポールの提案で、『Get Back』というスタジオ・ライブ・レコーディングしたアルバムを作り、同時にこの模様をフィルムに収めようとしていた。
ところが、崩壊寸前のビートルズに、メンバー間の確執もたびたび生じ、計画はいきづまって、録音状態のよくない膨大なテープの山だけが残った。
そこへ、名プロデューサー、フィル・スペクターの登場。
彼は、モノラル・レコード時代に、画期的なエコー・サウンドを駆使した広がりのあるサウンドづくりで有名であった。
そのフィル・スペクターの地道な努力によって、膨大なテープの山から、何とか聞くに堪えうるアルバム
『Let It Be』が完成した。
何かといわく付きのアルバムで、フィル・スペクターも悪役にされがちではあるが、しかし、彼の手によって初めて、私たちの前に、ビートルズ最後のアルバムが届けられたことには違いない。

そして、このたび、そのフィル・スペクターの手によるオーケストラ、コーラスや、サウンド・エフェクトなどをそぎ落とし、ビートルズの演奏の部分だけを残してリミックスされたのが、30年ぶりのニュー・アルバム
『LET IT BE...NAKED』。
ビートルズ・ファンのみならず、だれもが聴いてみたいと思う、とても興味深いアルバムである。
その一方で、あらためて厄介者の烙印を押されたフィル・スペクターが忍びない。



<曲目リスト>
1.Get Back
2.Dig A Pony
3.For You Blue
4.The Long And Winding Road
5.Two Of Us
6.I've Got A Feeling
7.One After 909
8.Don't Let Me Down
9.I Me Mine
10.Across The Universe
11.Let It Be

このCDに収録されたのは11曲。
まず、全体的に、フィル・スペクターのエコー・サウンドがきれいにふきとられ、ヴォーカルやコーラス、各楽器がクリアとなり、まさに、アルバム・タイトルどおり“Naked”。
武道館で見るビートルズのライブから、ライブハウスで聴くビートルズといった相違だろうか。

次の3曲のアレンジが、そもそも、フィル・スペクター色が濃いかったゆえ、特に耳に新鮮である。
♪ The Long And Winding Road
♪ Across The Universe
♪ Let t Be

一方、映画『LET IT BE』の屋上で演奏されたような次の曲は、さほど違いはないように思える。
♪ Get Back
♪ I 've Got A Feeling
♪ One After 909

あと、私自身、このニュー・アルバムによって、あらためて好きになった曲がある。
♪ Dig A Pony (前奏のフレーズで、ジョンとジョージのギター、ポールのベースが、とてもファンキーに、そしてすごい迫力でせまってくる。)
♪ For You Blue (リンゴのハイハットとジョージのマンドリン?がこんなにイキだったっけ。)

このアルバムの出現によって、ビートルズの「演奏」がより明らか聴くことができる。
しかし、もし当時、フィル・スペクターの手が入らなかったとして、このニュー・アルバムのようなアレンジで発表されたかというと、決してそうではないだろう。
この時期の彼らのアルバムづくりのスタイルとしては、(プロデューサー及び彼ら4人による)アレンジの創造こそ、大きな意味を持っている。
となれば、次なる贅沢な望みとして、ジョージ・マーティンがプロデュースをしていたとしらどうなったのだろう、と興味は尽きないのである。

(※ ジョージ・マーティン → それまでのビートルズのオリジナル・アルバムのプロデュースをすべて手がけた、5人目のビートルズ。)

by くりんと