Guitar Case 20

back!  menu!  next! トップへ!

披露宴芸に拍手喝采の理由

久しぶりに披露宴に招かれた。
こうした場でのお祝いの余興といえば、一昔前までカラオケが定番だったが、この度は、楽器の生演奏に加え、ピアノでの自作曲の弾き語りも聴かせていただいた。
新婦の友人が結婚のお祝いに作った曲のようで、この日のために一生懸命練習してきた様子もうかがえ感動した。
その方に、「よかったですよ」と声をかけるタイミングを見つけることはできなかったが、心から拍手をした。
友人の結婚の喜びを楽器で表現したり、歌にして贈るなんて、日本人の文化レベルも高くなったものだ。

そういう私も、これまで何度となくギターの弾き語りで、友人の結婚のお祝いをしてきた。
大きなウッド・ベースをかかえて仲間と駆けつけた時には、その姿だけで感動してもらった。
そうした快感が、今もなおバンド活動を続けている出発点なのかもしれないが、こうした披露宴芸でいただく拍手や感動の言葉というのは、けっこう曲者で話を10分の1以下にして聞く必要がある。
二人の若者(新郎・新婦)があらたな人生の門出に立ち、父や母がその二人を見送ろうとしている場面に立ち会ったとき、多くの人々は感動するタイミングを計っている。
こうした非日常な空気の中では、ちょっとばかり気のきいたはなむけの言葉(たいがいは主賓クラスがやってくれる)や、親友・悪友ぶりが発揮される芸に、それまで準備しておいた感動の堰が切られる。
したがって、その人の話芸や歌、演奏そのものにスタンディング・オベイションがなされたと勘違いしてはいけない。
多くの人々は、クライマックスにやってくる父や母の涙に感動するためのテンションを高めているのである。

私は、ここにいい舞台(ライブ)をつくるためのヒントを得た。
大切なのは、空気である。
幕が開くまでに、あらかた勝負はついているらしい。

by くりんと