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Guitar Case 94

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レクイエム“大瀧詠一”

 大瀧詠一氏の訃報が、年の瀬も押し詰まる2013年12月30日に届いた。享年満65歳。
 私の大好きなミュージシャンの一人で、おめでたいお正月のはずがどこか晴れない。ジョン・レノン(1980年・享年満40歳)、河島英五(2001年・享年満48歳)、 高田渡(2005年・享年満56歳)忌野清志郎(2009年・享年満58歳)のときも同じような衝撃を受けたが、65歳とはいえ彼もまた早世と言える。はっぴいえんど時代に同じメンバーであった細野晴臣氏の「彼の中に詰まっていたポップスの宝庫はどこに行くんでしょうか。大瀧君はずっとソロアルバムを作っていなかったのが気になり、11月中旬に『皆で手伝うからソロを作ろう』とメッセージを入れたのが最後です」という追悼コメントが届けられているが、やはり早すぎる死を悼んでいる。
 ミュージシャン大瀧詠一を簡単に紹介すると、1981年にリリースされた『A LONG VACATION』(通称ロンバケ)がミリオンセラーとなり、当時の学生たちの多くがその洗礼を受けた。ただ、マニアにとっては無名時代のアルバムも大切なコレクションで、『NIAGARA MOON(1975年)』『NIAGARA TRIANGLE Vol.1(1976年)』『GO! GO! NIAGARA (1976年)』『NIAGARA CALENDAR(1977年)』などがヒット前の布石となっている。また、『風立ちぬ(松田聖


 

子)』『冬のリヴィエラ(森進一)』『熱き心(小林旭)』など楽曲提供でもヒット曲を連発し、その評価は揺るぎないものとなっている。ただ、細野氏が言うように、ソロアルバムは1984年の『EACH TIME』以降発表されておらず、ファンとしての最後の望みはそれに尽きるという矢先だった。

 You Tube上には、過去に大瀧詠一氏が出演したラジオ番組が多数アップされており、『山下達郎のサンデーソングブック』の「新春放談大瀧詠一&山下達郎」や2013年9月20日にオンエアされた坂崎幸之助がDJをつとめる「K's TRANSMISSION」という番組が興味深い。まだほんの少し聞きかじっただけだが、大瀧氏はミュージシャンとしての活動に既に区切りを付けたようで、今や日本・アメリカのポップス研究に精力を費やし夢中になっている模様。その成果を限られたラジオ番組で 披露するという露出度で、はたして細野氏の問いかけに応えたかどうかは可能性が低い。「山下達郎君が今なお一線で活躍してくれているなら、私の出る必要はない」というのが言い分の大意である。それでもこの先も元気であられたなら可能性はゼロでないわけで、大好きなミュージシャンの逝去というものは、あらためて空虚感が漂う。

 幸い、今まで耳にしていなかったラジオ番組の録音をいつでも取り出せる環境に出会い、しばらく追悼ための時間を過ごしてみようと思う。

by くりんと